【暗殺教室】変人女子の非日常６ (ページ31)

今日:30 hit、昨日:3 hit、合計:87,676 hit

＃２５８ページ31

触手の発作が、再び起こる。

バンダナは糸も容易く引きちぎれ、しまわれていた触手が現れ始めた。

「俺は、適当にやってるおまえらとは違う。
今すぐあいつを殺して勝利を」

イトナの様子が一変して、即座に狭間ちゃんと吉田と村松が逃げ出す。

だが、寺坂だけ。

その場から動かなかった。

「おうイトナ、俺も考えてたよ。
あんなタコ今日にでも殺してーってな。
でもな、テメーにゃ今すぐ奴を殺すなんて無理なんだよ」

１人、冷静に語りかける寺坂。

彼の話す内容はきっと、彼だからこそ言える言葉。

「無理のあるビジョンなんざ捨てちまいな。
楽になるぜ」

そう言って笑った瞬間に、イトナが動く。

うるさいとこぼした言葉には、何処か焦っているようにも感じた。

そして繰り出されたイトナの触手は、寺坂によってがっしりと捕まえられる。

それからはもう、寺坂の演説タイムだ。

いつか、店を継ぐ時があったら……。

いつか、役に立つかもしれない……。

村松と吉田に、殺せんせーが言ったことだと話す。

「一度や二度負けたくらいでグレてんじゃねぇ。
いつか勝てりゃあいーじゃねーかよ」

そう言いながら、イトナの頭にげんこつをする寺坂。

今やれなくてもいい、たった一回殺せれば勝ちだ。

親の工場はその時の借金で取り返せ。

そんな適当な言葉を並べる寺坂に、何時の間にか皆も笑っていた。

「…耐えられない。
次の勝利のビジョンが出来るまで…俺は何をしてすごせばいい」

「はァ？
今日みてーにバカやって過ごすんだよ。
そのためにE組(おれら)がいるんだろーが」

そんなバカの適当な言葉。

だが、それが何よりも彼の力を抜いたのだろう。

イトナの目からは執着の色が消え、やっと私達の本当の意味でのクラスメートとして加わるのだった。