＃９９ ページ12
あの場を離れても、私の頭からは彼が離れる事はなかった。
ぐるぐると先程の記憶を呼び起こしては高鳴る鼓動を抑えつける。
あの場で兄が来たのは奇跡だ。
「すんごい顔してんなあ。
二日酔いでもした？」
何時ものごとく時間ギリギリにやってきた友人は人の顔を覗き込みながら鼻で笑う。
「……流石にどう考えても二日酔いの顔ではないと思うんですけど」
「酷さ的には変わらないでしょ」
ひらひらと手を振りながら隣に座ったところで先生が来る。
耳打ちで面倒臭いから話は聞かないと言われ、苦笑いしながら先生のお話を聞く。
とはいえ聞いてもらえたとしても、まさか爆豪くんの名前を出す訳にもいかない。
それに今までだってそれとなく話をぼかしてきたし、聞きはせずとも詳しく話せない理由も彼女は理解しているだろう。
そういう面では確かに話せる事は限られているし、面倒だというのも無理はない。
まあ彼女の事だ、8割が面倒に割り振られている事だろう。
そんな友人の自由気ままな姿に一種の敬意を覚る。
私も、そこまで気楽に生きられたら楽なんだろうが……。
どうにも考えすぎてしまうのが私の悪いところだ。
大きな窓から空を覗き見、ただ理由も無く談笑する学生達を眺める。
そんな私にちょいちょいと周りを確認しながら声をかけた友人は、ルーズリーフの端っこに嫌いな字で何かを書いてみせた。
相変わらず綺麗な字だなと感心しながら、
『私は無理だから他あたんなよ』
と書かれたそれをじっと見つめる。
「他……ですか…………」
小さく呟いた私に、友人は何故かポケットに入っていたらしい飴玉をくれた。
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Panda - とても面白かったです。キャラ、物語の運び、表現の仕方、どれをもっても素敵です。またあなたの爆豪君落ち夢小説を読みたいなと思うほどこの作品に惹かれました。勝手ですが友達にお勧めしちゃったりするほど…。友達も絶賛でした。またお会いしたいですね (2020年10月15日 4時) (
レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 英さん» コメントありがとうございます。長く温めていた作品でもあるので、そのように言っていただけると本当に嬉しいです。少しでも記憶に残る作品になっていると嬉しいです。 (2018年7月13日 18時) (レス) id: 66d7c12b7d (このIDを非表示/違反報告)
英(プロフ) - 完結おめでとうございます！もどかしいままだった2人の関係がようやく収まるべきところに収まりほっとしております笑 作り込まれた設定で素敵な作品でした^^*お疲れ様でした (2018年7月6日 20時) (レス) id: 91623744f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2018年6月25日 12時
