＃９８ ページ11
さっさとその場を去ろうと頭を下げ、彼の横を通り過ぎようとする。
けれどそれはすぐ後ろに引かれた重心によってままならずに留まり、少し強めに掴まれた腕に意識がいく。
「あの……？」
暫く無言を貫く爆豪くんに首を傾げ、特に時間がギリギリな訳ではないのに何度も腕時計を確認する。
早くこの場を去りたい。
時間が、こんなにも遅く感じられる。
「……俺は」
「え？」
「ずっとお前を……」
真っ直ぐ、射貫かれるような瞳から逃れられない。
躊躇うように何度も小さく動く唇。
続きを紡ごうとするそれをじっと眺めるが、結局それは音にならずに遮られた。
「おーい、爆心地！！」
パッ、と爆豪くんは反射的に掴んでいた手を離す。
「あれ、葵まだいたのか？」
爆豪くんを呼んだのは兄だった。
不思議そうに私を見て首を傾げた兄に、私は振り返って眉根を寄せた。
「……今さっき、彼とぶつかってしまって」
「お前意外とそういうとこあるよな」
気をつけろよと一言もらってから、再び踵を返して逃げるようにその場をあとにする。
ほっとしたような、残念だったような。
『ずっとお前を……』
その先に何を言おうとしたのかは、わからないままだ。
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Panda - とても面白かったです。キャラ、物語の運び、表現の仕方、どれをもっても素敵です。またあなたの爆豪君落ち夢小説を読みたいなと思うほどこの作品に惹かれました。勝手ですが友達にお勧めしちゃったりするほど…。友達も絶賛でした。またお会いしたいですね (2020年10月15日 4時) (
レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 英さん» コメントありがとうございます。長く温めていた作品でもあるので、そのように言っていただけると本当に嬉しいです。少しでも記憶に残る作品になっていると嬉しいです。 (2018年7月13日 18時) (レス) id: 66d7c12b7d (このIDを非表示/違反報告)
英(プロフ) - 完結おめでとうございます！もどかしいままだった2人の関係がようやく収まるべきところに収まりほっとしております笑 作り込まれた設定で素敵な作品でした^^*お疲れ様でした (2018年7月6日 20時) (レス) id: 91623744f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2018年6月25日 12時
