＃８９ ページ2
「二人ともお帰り、遅かったな？」
共有スペースまで進むと、そこにいた水谷くんがコップ一杯のアイスティーを用意してくれた。
ドンと教科書の重みで鈍い音を立てる鞄を床に置いてからそれを受け取る。
床が凹むだろと睨まれるが、凹んでいたら個性で直すとアイスティーを一気に喉に流し込んだ。
そのやり取りを見て終始笑っている水谷くんは、きっと根っからの世話焼きなのだと思う。
「葵ー、ダンボールここ積んどいたー！」
「すみません、助かります」
女子の友人数人が、片手を上げてこちらに声をかける。
アイスティーを飲み干してから頭を下げ、空になったグラスを机に置いてからそちらに駆け寄る。
昨日までに纏めておいた荷物は、確かに全部その場に置いてある。
後は今日持ち帰った教科書をまた新しいダンボールに詰めるくらいで良さそうだ。
「アンタ、風呂行って汗流してきたら？
勝手だけど服は出しといたし、タオルは貸すよ」
「何から何まで……頭が下がります……」
「意外とそういうとこポンコツだもんね。
制服はまあ鞄にでも詰めときなよ」
ケラケラと笑う友人達に反論しつつも、手渡されたタオル達を手に風呂場へと向かう。
教科書達は世話焼きの水谷くんが既に新しいダンボールに詰めてくれていた。
彼はきっと、付き合ったら所謂スパダリの部類に入るのだろう。
出来のいい兄を持った気分になって、未来の水谷くんの彼女にドヤ顔した。
……引越し業者が来るまで、あと2時間だ。
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Panda - とても面白かったです。キャラ、物語の運び、表現の仕方、どれをもっても素敵です。またあなたの爆豪君落ち夢小説を読みたいなと思うほどこの作品に惹かれました。勝手ですが友達にお勧めしちゃったりするほど…。友達も絶賛でした。またお会いしたいですね (2020年10月15日 4時) (
レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 英さん» コメントありがとうございます。長く温めていた作品でもあるので、そのように言っていただけると本当に嬉しいです。少しでも記憶に残る作品になっていると嬉しいです。 (2018年7月13日 18時) (レス) id: 66d7c12b7d (このIDを非表示/違反報告)
英(プロフ) - 完結おめでとうございます！もどかしいままだった2人の関係がようやく収まるべきところに収まりほっとしております笑 作り込まれた設定で素敵な作品でした^^*お疲れ様でした (2018年7月6日 20時) (レス) id: 91623744f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2018年6月25日 12時
