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＃６０４ ページ18
「ところで、結婚と子供は？
誰が両親に親孝行する？」
「んあ？」
唐突な兄のその質問に、悠哉と二人顔を見合わせる。
「まあ……兄貴は漸くシスコン落ち着いてきたところだから無理だよな？」
「否定はしないけど怒るよ愚弟」
「しないんじゃなくて出来ないんでしょーが」
グラスに注いだお酒をグッと流し込んだ兄は、少し強めにそれを置く。
おいおい机が凹むじゃねーかとグラスを持った手を睨みつけた。
何を怒っているのかと向ける視線に、兄は唸ってから言葉を吐き出す。
「……有里ちゃんももう26になるよね」
「そうだけど？」
「丁度いいタイミングなんじゃないかな。
子供はともかく、国家公務員総合職は2〜3年で転勤だしここで身を固めとくのも、ね……ッくそ！」
「言ってる事と顔合ってないぞ兄貴」
ブッサイクな顔して眉根を寄せる兄に涼しい顔でお酒を煽る弟。
とんでもない図だ。
「……結婚、ねえ」
忙し過ぎて考える暇もなかったが、するなら業以外に考えられない。
業は……どうなんだろうか。
最後にグッとお酒を流し込んでから自嘲した。
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2018年4月7日 16時
