＃５８６ ページ45
『その時は本当に人殺しだ』
業に言われた言葉が頭の中でこだまする。
その言葉は、カエデがこうなってしまったのは私のせいではないという意味が含まれている事、そして私を現実に引き戻す為だという事は理解できる。
にしても、厳しい事を言うものだ。
そうじゃなきゃ私からは動けなかったかもしれないから、それが正解なのかもしれないけれど。
鉛のように重いのはまだ変わらないが、何とか身体を動かせる事に小さく安堵する。
そうすると視野も少しづつ広がっていき、私はようやくそこで殺せんせーの様子を認識する事が出来た。
真っ黒になった殺せんせーに、真っ黒な二代目が最後の体制に入る。
「…地獄のような１年だった……。
だが、今終わる」
二代目の向こう側で、誇太郎兄ちゃんが呟く。
それを合図に動き始めた二代目。
思わずぎゅっと目を瞑った私は、次いで瞼の裏にまで届く光にゆっくりと目を開けた。
「白い……」
さっきまで確かに黒だった殺せんせーの周りには、白い光が溢れて二代目を止めている。
「…違う…黄色だ」
渚が誰に言う訳でもなく零す。
けれど言葉にしたそれは、一色では留まらなかった。
赤に、緑に、青に。
そして光の三原色を纏って白に。
「教え子よ、せめて安らかな…卒業を」
最後にそう言った殺せんせーから放たれた綺麗な光は、二代目に直撃し、その勢いの強さに誇太郎兄ちゃんも飛ばされるのが見えた。
その先は、バリアの外まで続くだろう。
「止めてあげられなくてごめんね、お兄ちゃん」
呟いた言葉は誰にも拾われず、こんな中でも綺麗に輝く星空に消えた。
ああ、今日はなんて星が綺麗な夜なんだろう。
それがこんなにも悲しい。
殺せんせーが二代目を倒した後も、誰も歓喜の声を上げる事はなかった。
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聖泉りか(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます。長い間お待たせしてしまいすみません……。なるべくお待たせしないよう更新頑張りますね！ (2017年10月2日 1時) (
レス) id: de99d9a9ba (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - はじめまして！ユウと申します。続き書かれるんですね！最初から読んだので、続けると聞いて舞い上がってます(笑)色々大変だとは思いますが、無理しない程度に頑張ってください！楽しみにいつまででも待ってます！ (2017年8月26日 11時) (レス) id: 4bbf2597ea (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - いえいえ！続きが読めると聞いて安心しました。自分のペースで頑張って下さい(*^^*)！応援してます！ (2017年8月17日 15時) (レス) id: 438c3a64fb (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 琥珀さん» 長い間お返事出来ずすみません、これから少しづつ更新していこうと思っています。また読んでいただけると嬉しいです。 (2017年7月28日 2時) (レス) id: de99d9a9ba (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新はしないのですか？？ (2017年2月11日 15時) (レス) id: 438c3a64fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年10月10日 17時
