＃５７９ ページ38
聞いてと言った咲哉兄ちゃんは、ゆっくりと口を開く。
気配で誇太郎兄ちゃんの方を見ているのがわかった。
「兄さんは体内の重要器官の殆どに触手細胞を埋め込んであるんだ。
だから……バリアの外に出せればもう動けない」
「そんな事言ったって、どうやって……」
口元から掌を離しポケットにそっと移動した兄に、出来ればそうしていると言うニュアンスを含んだ抗議をする。
「あるんだ、種が」
何の、なんて聞かなくても、それが触手の種である事は誰が聞いても明らかだっただろう。
あまりの衝撃に、思考回路が追いつかない。
「もし二代目が邪魔をしてきたら、一発でいい、それを撃って欲しいんだ」
それ、と言った視線の先には、先程誰かが落とした銃。
けれど、私にそんな事が出来るはずがないし、そもそも兄にそんな事をして欲しくは無い。
声が出なくても懸命に首を振ってそれを伝えるが、ポンポンと頭に手を置くその仕草には私が何を言っても聞かない頑固さが滲み出ている。
「まだ慣れていないだけで、有里には見えるはずだよ。
触手の跡は、そう簡単に消えたりはしないからね……」
実の妹にそんな物を植え付ける選択をさせてしまった自分を戒めるように、声のトーンを落とす。
それから話しを変えるように見て、と地面に向いていた私の視線を正面に向けさせた。
まるで私が反対隙を与えない様にも捉えられたが、素直に従う。
「有里の先生は凄いね、どこまでも先生だよ。
僕には1つ1つの動作がしっかり見えている訳ではないけど、戦力差を工夫で埋めているのはわかるんだ。
土を使って光を防いだり、あれは間合いを詰めてるのかな……威力を殺して攻撃を逸らし始めてる」
そう解説され、殺せんせーから目を離せなくなった私に、もう一度咲哉兄ちゃんは頭に手を置く。
合図はわかるようにするから、と聞こえた後。
私の背後に人の気配が無くなった。
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聖泉りか(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます。長い間お待たせしてしまいすみません……。なるべくお待たせしないよう更新頑張りますね！ (2017年10月2日 1時) (
レス) id: de99d9a9ba (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - はじめまして！ユウと申します。続き書かれるんですね！最初から読んだので、続けると聞いて舞い上がってます(笑)色々大変だとは思いますが、無理しない程度に頑張ってください！楽しみにいつまででも待ってます！ (2017年8月26日 11時) (レス) id: 4bbf2597ea (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - いえいえ！続きが読めると聞いて安心しました。自分のペースで頑張って下さい(*^^*)！応援してます！ (2017年8月17日 15時) (レス) id: 438c3a64fb (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 琥珀さん» 長い間お返事出来ずすみません、これから少しづつ更新していこうと思っています。また読んでいただけると嬉しいです。 (2017年7月28日 2時) (レス) id: de99d9a9ba (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新はしないのですか？？ (2017年2月11日 15時) (レス) id: 438c3a64fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年10月10日 17時
