＃５５７ ページ16
皆とは別室に連れて行かれた私。
部屋の前で拘束を解かれ何とか逃げ出せないものかと辺りに視線を巡らすが、流石にそれは出来そうにない。
舌打ちが零れてしまいそうになるのを必死に堪えて促されるままに目の前の部屋に入ると、そこで私を待っていたのは母親とビッチ先生、それから政府の人と思われる黒いスーツに身を包んだ男性だった。
なるほど、通りで拘束を解いたわけだと苦笑する。
親の前で娘を拘束するなんて真似は状況を悪くするだけだ。
ましてや政府は私が皆と同じように閉じ込めておきたいと思っているはず。
それが難しくなるような事は決してするまい。
「有里」
母親に呼ばれ、強く頷く。
促されるままにビッチ先生と場所を代わって座る。
ビッチ先生は立ち上がって私達の後ろに立ち、事の成り行きを見守るようだった。
きっと先生に今回の件に口を出す権利は無いのだろう。
「それでは、交渉を始めましょうか」
そう口にした黒スーツの男性は瞬き一つで母に確認を取る。
「そうですね、早く娘を連れて家に帰りたいので」
母は負けじと政府側に私を預ける気はないと遠回しに強く言う。
それを気にした様子もなく、目の前に座っている男性は両手を手前で組んで口を開いた。
「先ずお母さん、何故娘さんを預ける事にそこまで拒絶する必要があるのか。
しっかりと話してはくれませんか？」
「先程から申し上げている通り、貴方方が全く信用ならないからです」
「政府……いえ、国の事が信用ならないとおっしゃるんですか？」
「勿論です」
しゃんと背筋を伸ばしてハッキリとものを言う母親に、私は驚きと共に恐怖を覚えた。
私は今にもこの部屋から逃げ出したいくらいに、この部屋はピリついているのだ。
口を噤んで俯きがちにちっとも進まない会話を聞く。
そして、その状態から暫く。
ずっと平行線だった会話が、ついに母の言葉から戦争の火蓋を切って落とす。
「埒があきませんね、私はこう言っているんです。
嘘をついて娘を連れて行こうとしている時点で信用なんてものは欠片もないと」
部屋の空気が、痛い程の静寂に変わった。
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聖泉りか(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます。長い間お待たせしてしまいすみません……。なるべくお待たせしないよう更新頑張りますね！ (2017年10月2日 1時) (
レス) id: de99d9a9ba (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - はじめまして！ユウと申します。続き書かれるんですね！最初から読んだので、続けると聞いて舞い上がってます(笑)色々大変だとは思いますが、無理しない程度に頑張ってください！楽しみにいつまででも待ってます！ (2017年8月26日 11時) (レス) id: 4bbf2597ea (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - いえいえ！続きが読めると聞いて安心しました。自分のペースで頑張って下さい(*^^*)！応援してます！ (2017年8月17日 15時) (レス) id: 438c3a64fb (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 琥珀さん» 長い間お返事出来ずすみません、これから少しづつ更新していこうと思っています。また読んでいただけると嬉しいです。 (2017年7月28日 2時) (レス) id: de99d9a9ba (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 更新はしないのですか？？ (2017年2月11日 15時) (レス) id: 438c3a64fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年10月10日 17時
