＃４４９ ページ41
殺せんせーが
たった５秒間で超絶的スピードを見せつけられた時、私達は……。
恐ろしい難題を突きつけられたと初めて気付いた。
この先生を殺さなくてはいけないのか、と。
「先生の過去の話は以上です。
なお不明な点や…疑わしい点がある人は指摘して下さい」
話し終わった殺せんせーが尋ねる。
勿論、誰も殺せんせーの話を疑う生徒はいなかった。
全て繋がったのだ。
殺せんせーが万能な理由も、どんな暗殺も知っていたかのように避けられた理由も。
雪村先生の死を殺せんせーに求める者もいなかった。
２人とも、苦しむ人を放っておかない先生なのをしっているから。
それに……。
「ねぇ、殺せんせー」
沈黙の中、私一人だけが口を開く。
「シロが……お兄ちゃんが殺せんせーをその姿に変えたって事だよね？
非人道的な研究や態度をとったのもお兄ちゃん。
元を辿れば雪村先生を殺したのもお兄ちゃん。
そして同じ血が私にも流れてるっ……！！」
雪村先生の死はお兄ちゃんにある。
どう考えても殺せんせーにはない。
口に出す事で確信していく。
この話で１番恨まれるべき存在はお兄ちゃんだ。
私に流れているこの血だ。
「なら私も一緒だ。
お兄ちゃんが悪いならきっと私も悪いんだ。
家を出てったあの日……引き止めてれば何か変わってたはずじゃん！
それをしなかった私にも原因があってそれでっ」
「水崎さん」
「っ……」
私の言葉を遮って声をかける殺せんせー。
そして、ゆっくりと首を振った。
それは違う、と。
「君と君のお母さんはよく似ている」
「…………おか……さん？」
唐突に出てきた母の話題。
思わず反復すると殺せんせーは頷いた。
「三者面談の時の話をしましょうか」
また、古い話を持ち出す先生。
もしかして……。
２人で話した時に何かあったのだろうか。
私達はもう一度、黙って聞く事にした。
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年3月26日 1時
