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＃４１３ ページ5
業side
「結局来なかったね、有里ちゃん」
皆で校舎に帰りながら茅野ちゃんが零す。
それに反応して何人かが頷いた。
おそらく無駄だという事はわかっているが、もう一度電話をかけている。
「……あれ…………？」
「業君？」
思わず漏らした声に渚君が反応する。
不思議そうに首を傾げるのを横目に、人差し指を口元に当てた。
靴を履き替えながら電話をかけていると、今までは直ぐに切れていたのに今回は長い事に気付いたのだ。
電源が入ったのかと思ってスピーカーを押そうとして、ピタリと止める。
僅かに聞こえたメロディ。
場所は……おそらく教室あたり。
聞き覚えのあるメロディだ。
何処だ、何処で聞いた？
「有里の着メロ……！！」
声に出してそうだと確信する。
それから急いで教室に向かう。
出る時に磯貝がしっかりと閉めたはずのドアが僅かに開いていて、その隙間に手をかけて開け放つ。
「有里！？」
そこで視界に入ったのは、教卓にもたれかかって気を失っている有里の姿。
直ぐそこには鞄が置かれていて、携帯だけが俺の名前を表示したまま動いていた。
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年3月26日 1時
