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＃４４２ ページ34
no side
その日の帰り。
あぐりは妹である茅野カエデと……あかりと通話をしていた。
あぐりの明るい声を聞き、好きな人でも出来たのかと聞くあかり。
勿論それを否定するあぐりだったが、焦りすぎて逆に怪しがる。
「それに良いじゃん。
こんな遅くまでこき使う婚約者なんて別れちゃいなよ」
「………」
あかりはあぐりの婚約者、柳沢が嫌いだと言う。
最初の外ツラはよくても、支配下に入ったとたんに横暴になるタイプだ。
自分の仕事上、よく見てきた人だと言ったあかりに、あぐりは苦笑した。
もう既に大分横暴だ。
そんな会話からそらしたい半分、あぐりは手帳を開く。
「それよりあかり。
明日の夜、ちょっとだけ抜けれそうなの。
久々に話さない？」
「いーね！！
お姉ちゃんの気になる人ほ話も聞くよ」
電話越し、あかりの笑い声にあぐりは声を漏らした。
最後に無理しないでねと声をかける妹に、姉はそっちこそと返す。
そんな仲睦まじい姉妹。
だが、彼女たちの遥か上空に輝く月が。
姉妹を引き裂くカウントダウンを始めていようとは、誰が思うものか。
それは、実験をしている柳沢でさえ……。
予想しなかった結果だったのだ。
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年3月26日 1時
