【暗殺教室】変人女子の非日常１０ (ページ32)

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no side

くすくすと笑うあぐりが理解できず、死神は戸惑う。

そんな姿にも彼女はまた笑った。

「柳沢さんがあなたの体に何をしたのか。
私にはわからないし止めもできない。
けど…どんな形にも変われるその触手は…。
あなたがどうなりたいかを映す鏡かもしれませんね」

「私の…？」

自分のうねる指を見つめながら繰り返す死神。

そんな彼に、あぐりは穏やかに微笑んだ。

「きっとそう、もしも平和な世界にうまれていたら。
あなたはちょっとH(エッチ)で、頭はいいのにどこか抜けてて。
せこかったり意地張ったり…そんな人になっていた」

ずいっと顔をアクリルに近付けるあぐり。

「優しい笑顔もビジネスじゃなくて、あなたは本当に優しい人」

真っ直ぐに言ってみせた彼女に、死神は伸びた人差し指で頭を掻く。

……それから、死神は更に彼女の話を沢山聞いた。

新しいＥ組が入って来た事、役者をしている妹がいる事。

一度、妹の写真は無いのかと聞いた事もあった。

だが、返ってきたのは持たないようにしているというちょっと変わった返事。

どうやら子役から大人になる時期で、皆の目に触れず休眠する時間が必要なんだとか。

「だから、わたしがその邪魔をしたらダメ。
生徒達も妹も、温かく陰から守ってあげたいんです」

そう言ったあぐりに、死神は知った。

人間とは活かすもの、弱者とは育てるものだと。

……死神の知らない世界だったのだ。