＃４２６ ページ18
私がまだ小さかった時、
１人は言わずもがな、水崎咲哉。
正真正銘、粉うことなき私の兄だ。
そしてもう１人、
今は亡き母の姉の１人息子。
……私の従兄弟である。
これで全て繋がった訳だ。
何度か目があったのも、クソ兄貴が殺せんせーの事を知っていたのも。
そして、触手の種を手にいれた事も。
全部シロと……お兄ちゃんと繋がっていたからだ。
静かな空間には、どれだけ小さく呟いたって聞こえてしまう。
「お兄ちゃんって……シロと？」
誰かが零した言葉。
それを拾う者はその場にはいない。
だが、暫くしてお兄ちゃんは私に視線を移して口を開いた。
「有里……お前の運動神経は親ゆずりだ。
だからもっとやれると思って咲哉を見逃したんだがな」
蔑むような目。
今までに向けられた事の無いその目に、言葉が出てこない。
「行こう、二代目」
「あ、待っ……お兄ちゃん！！」
踵を返した姿に、慌てて右手を伸ばして立ち上がる。
だが、踏み出した左足は直ぐに力が入らなくなってバランスを崩す。
「っ、！！」
慌てて支えてくれた業によって地面にぶつかる事は回避出来たが、顔を上げると既にお兄ちゃんは居なかった。
その時、色んな事が私の頭をぐるぐるとまわった。
皆を危険に曝した事、糸成を危険な状態のまま捨てた事。
そんな酷い事をした人と自分の血が繋がっている。
その人と同じ血が……私の中にも流れている。
そう考え出すと吐き気が止まらなかった。
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年3月26日 1時
