＃４２２ ページ14
業side
「さて、問題は水崎さんです」
一通り話が終わって、また焦る様に視線を動かす。
映ったものは、集中する茅野ちゃんと限界ギリギリの有里。
どうやって茅野ちゃんに知られず、この作戦を決行しようか。
そう考えた時、
「その事なんだけど……」
片岡が小さな紙切れを取り出した。
「さっき助けてもらった時さり気なく渡されたの。
「合図来たら直ぐふっ飛ばされる」って書いてある」
ふっ飛ばされる……。
もの凄く不安だが、信じるしかなさそうだ。
「つっても、茅野にバレずにどうやって……」
茅野ちゃんの殺意を忘れさせる何かも考えなきゃいけないこの局面で、また考えなきゃいけないのか。
焦りれば焦る程真っ白になっていく。
けれど、今ここでするべき事は。
「……有里にどう伝えるかは俺が考える」
２つも考えるなんて馬鹿な事は思わないってとこか。
「皆は茅野ちゃんの方考えててよ」
返事は聞かず、目を閉じて考える。
雰囲気で皆が了承したのが伝わって、頭をフル回転させた。
あの戦いの中で気付く様な合図である事。
茅野ちゃんに気付かれないような合図である事。
『合図来たら直ぐふっ飛ばされる』
つまり、直ぐにふっ飛ばされても可笑しく無い合図である事……？
「業君！！」
「有里ッ！！！」
殺せんせーに呼ばれたのとほぼ同時に声を上げる。
それから続きを言おうとして息を吸うが、ほんとにふっ飛ばされた有里。
早いし飛び過ぎだし肩透かし食らった気分。
だが、そんな事思ってる暇もなく。
今度は殺せんせーに向かっていく茅野ちゃん。
茅野ちゃんの方は皆に任せて、俺は急いで有里の方へ向かった
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年3月26日 1時
