＃４２ ページ43
自分の中にある力が無くなっていくのを感じた。
私がこの世に施した力も同じ様に。
悪魔と私の力は同じ物。
つまり、悪魔が私に施した力も。
ゆっくりと私から離れた少年は……。
もう、わかっている。
「…………業」
そう彼の名前を零すと、柔らかに笑う。
ふと業越しに悪魔の姿を見ると、ただの黒猫に戻っていた。
そう、ただの黒猫に。
「悪魔は契約者を取られると存在を保てなくなる」
私の視線に気付いたのか、振り向いて黒猫を視界に捉える業。
「何でそんな事……」
「ちょっと、ね」
あくまでも私には話さないつもりか。
はぐらかす業に、私はそれ以上何も言えなかった。
沈黙が何だか耐えられなくなって黒猫に歩み寄る。
それから、そっと黒猫を抱きかかえた。
「ねぇ業、１つ聞いてもいい？」
「ん？」
黒猫の頭を撫でながら、私は小さく息を吸う。
「私は……悪魔の力で病気を直したの。
何で私はここに立っていられるの？
……普通なら、死んでるはず」
悪魔の施した力が消えるのならば、私の病気を直した力も消えているはず。
あの病気は……時間の経過で治るようなものじゃない。
「……生きてるならそれでいいじゃん」
やっぱりはぐらかす業。
私はバレない様に苦笑を漏らした。
「そうだね。
……業といられるのならば」
最後は恥ずかしくなって、抱きかかえた黒猫をしきりに撫でる。
そんな私に、業はふっと笑って歩み寄ってきた。
「綾ちゃん」
「……なに？」
私の腕の中にいる黒猫の首元を撫でる業。
それから手を止めて、私と視線が交わってから微笑んだ。
「好きだよ」
不意に、泣きそうになった。
何でかなんてわからないし、わからなくてもいいのかもしれない。
だけど、少しだけ。
意地悪してもいいじゃない？
「馬鹿じゃないの」
なんて。
キスしてみたりとか。
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本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 素敵な作品と出会えて良かったです( ´•̥ ̫ •̥` )いつかカルマside見れたら良いな！ (2023年2月1日 16時) (
レス) @page43 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
♪clover♪ - それから受験お疲れ様でした！ (2016年2月20日 22時) (レス) id: b2a8be354e (このIDを非表示/違反報告)
♪clover♪ - 聖泉りかさん» ありがとうございます！では、楽しみに待ってます！！ (2016年2月20日 22時) (レス) id: b2a8be354e (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - ♪clover♪さん» コメントありがとうございます。完結まで、短いようで長かったような気がしますw業sideの方は、続編という形で公開します。まだ公開はしていませんが、公開したらお知らせにて追記させていただきます。 (2016年2月20日 14時) (レス) id: d572bffb8b (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 莉央さん» コメントありがとうございます。暫く書き溜めて、だいたいの道筋ができたら公開しますので、お待ち頂けると嬉しいです。 (2016年2月20日 14時) (レス) id: d572bffb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年1月27日 23時
