＃３５ ページ36
何か悪い夢でも見てるのかと思った。
でもこれが夢じゃない事は明白で。
やっぱ神様なんている訳無いんだなって再確認する。
……私の目から流れた雫が、彼の頬に垂れた時だ。
騒がしかったあたりが一気に無音になる。
この感覚は２度目だ。
「約束だよ、綾。
答えを聞きに来た」
聞き慣れた声が私の耳をかすめる。
ぼやける視界で捉えた姿は、やっぱり黒猫。
……悪魔だ。
「貴方がやったの……」
「さあ、どうだろうね。
だけど僕としてはこの状況を使わない手は無い。
君だってわかってるはずだよ」
そこで区切ってから、悪魔はまるで屍を踏みつけるように業の上にのった。
「コイツは直に死ぬってね」
足元を見下す悪魔に。
頭がかっとなる。
今すぐそいつをどかしてやりたいと思った。
けれど、身体は少しだって言う事を聞かない。
「手段は１つしかないはずだ。
君の口から言ってご覧よ」
悪魔は口元に挑発的な弧を描く。
私は業に目をやってから、ぐっと奥歯を噛みしめた。
それから、決意する。
絶対に死なせたりはしないと。
「貴方と契約するわ」
涙をこらえて悪魔と視線を交える。
私は……魔女だ。
今、この時から。
悪魔の力を求めたこの瞬間から。
口調だって、もう一度変えてやる。
だから無理矢理にでも笑ってやった。
「貴方の力を私に頂戴」
「……勿論さ」
そう言いながら悪魔は笑う。
それこそ本当に、悪魔の笑みだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 素敵な作品と出会えて良かったです( ´•̥ ̫ •̥` )いつかカルマside見れたら良いな！ (2023年2月1日 16時) (
レス) @page43 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
♪clover♪ - それから受験お疲れ様でした！ (2016年2月20日 22時) (レス) id: b2a8be354e (このIDを非表示/違反報告)
♪clover♪ - 聖泉りかさん» ありがとうございます！では、楽しみに待ってます！！ (2016年2月20日 22時) (レス) id: b2a8be354e (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - ♪clover♪さん» コメントありがとうございます。完結まで、短いようで長かったような気がしますw業sideの方は、続編という形で公開します。まだ公開はしていませんが、公開したらお知らせにて追記させていただきます。 (2016年2月20日 14時) (レス) id: d572bffb8b (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 莉央さん» コメントありがとうございます。暫く書き溜めて、だいたいの道筋ができたら公開しますので、お待ち頂けると嬉しいです。 (2016年2月20日 14時) (レス) id: d572bffb8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年1月27日 23時
