＃１６ ページ17
赤羽業に連れられ来たのは海だった。
時期が早い為、誰もいない。
「海って……綺麗だったのね」
髪が風で靡くのを押さえながら遠くを見据える。
太陽の光を反射してキラキラと光るそれは、まるで宝石箱をひっくり返した様。
誰もいないから、まるで独り占めしてるみたいだ。
赤羽業はいるけれど。
「綾ちゃん海来た事ないの？」
「……無いわ」
目を奪われるなんて、らしくない。
だけど目を離す事なんて出来なかった。
「ふっ」
突然、隣から笑い声が聞こえる。
「何よ、急に笑い出すなんて」
「いや、何か今日は表情がころころ変わるなって」
頭の後ろに手を組んでそう笑う赤羽業。
表情が変わるのは、魔法が使えないせいだ。
調子が狂う。
「そんな事より。
何故ここに私を連れてきたのかしら、貴方は？」
「……それやめない？」
急に赤羽業が不機嫌そうな声を発する。
横目で見ると、彼は溜息をついた。
「だからぁ、そろそろ名前で呼んでくれてもいんじゃない？」
「いやよ」
「即答かよ……」
思い切り肩を落として溜息をつく赤羽業。
けれど、私には関係ない。
それに……。
「私、人間は信じない主義だもの」
そう零す私に、赤羽業は不思議そうな顔をする。
「綾ちゃんも人間じゃん」
「そう……ね。
だから私も私を信じないわ……」
人間……。
私が自分自身を信じていないのは嘘ではないが、私は本当に人間？
なんて、馬鹿な事を考えてしまった。
人間かそうでないかなんて、どうでもいい事だ。
「じゃあさ、綾ちゃんが俺を信じてくれたら名前で呼んでよ」
「……信じる事が出来たらね」
最後は、正直やけくそに近かったと思う。
出来る訳がないだろうと、そんな意味を含んでいた。
それに赤羽業が気付いていないはずも無いのだろうけれど。
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本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 素敵な作品と出会えて良かったです( ´•̥ ̫ •̥` )いつかカルマside見れたら良いな！ (2023年2月1日 16時) (
レス) @page43 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
♪clover♪ - それから受験お疲れ様でした！ (2016年2月20日 22時) (レス) id: b2a8be354e (このIDを非表示/違反報告)
♪clover♪ - 聖泉りかさん» ありがとうございます！では、楽しみに待ってます！！ (2016年2月20日 22時) (レス) id: b2a8be354e (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - ♪clover♪さん» コメントありがとうございます。完結まで、短いようで長かったような気がしますw業sideの方は、続編という形で公開します。まだ公開はしていませんが、公開したらお知らせにて追記させていただきます。 (2016年2月20日 14時) (レス) id: d572bffb8b (このIDを非表示/違反報告)
聖泉りか(プロフ) - 莉央さん» コメントありがとうございます。暫く書き溜めて、だいたいの道筋ができたら公開しますので、お待ち頂けると嬉しいです。 (2016年2月20日 14時) (レス) id: d572bffb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖泉りか | 作成日時：2016年1月27日 23時
