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業side
保健室のロッカーに隠れて数分後、茅野ちゃんが保健室を覗きに来た。
茅野ちゃんがっていうよりは、クラス全員が。
やはり、隠れていて正解だった。
ただ、ロッカーはやめればよかったと今更ながらに後悔した。
最初は雪乃にからかわれてその腹いせにと思っていたが、あまりにも雪乃が赤面するからだんだん冷静になってきて、何してんだよって思えてくる。
俺はこっそり隙間から誰もいなくなったことを確認するために、目を凝らす。
すると、たった1人だけ残っていた渚君と、目が合ってしまった。
しかも、こちらに向かってきている。
完全にロッカーに隠れていることはばればれだ。
つい、
「あ……」
と声に出してしまった。
その声に反応したのか、雪乃が不安そうに袖を引っ張ってくる。
俺は別に茶化されても平気だが、雪乃はそうもいかないだろう。
どうしようか一瞬悩んだが、すぐにそんなことは消し飛んだ。
渚君はこちらを見て微笑むと、笑って保健室から出ていった。
気を使ってもらった、と言うべきだろうか。
俺はそのあとロッカーから出て、やられたな、と思い軽く笑ってしまった。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時