#6 ページ7
さっきはただの幼馴染なんて言ったけど、本当は全然違う。
あの後カエデちゃんに散々付き合ってないのかと疑われたが、付き合っていないのは事実だ。
ただ、私の初恋であり、今も好きな人。
それは変わらない。
だから、幼馴染なんて枠じゃ全然収まりきらない存在。
それが、私にとっての業の存在だ。
チラッと隣で授業を受けている業を盗み見る。
今は数学の時間で、最も私が苦手とする教科だ。
業は逆に数学が得意で、真面目に授業を受けていた。
柄でもないな、なんて偉そうに思ってつい笑ってしまう。
さすがに気付いたのか、こっちを見て
「何?久々に会った幼馴染がかっこよくなってて見惚れちゃった?」
なんて、挑発してくる。
図星だったから何も言い返せずに数秒黙ってから
「そうだね、業かっこよくなったもん」
と、逆に含みのある笑で笑ってやった。
流石に予想外だったのか、業はすぐにそっぽを向いて顔を隠す。
これは……照れてるな。
自分が有利にたてたと瞬時に理解し、一気にまくし立てる。
「え、照れてんの?まさかの照れちゃってるの?自分で言っといて?
やだぁ、可愛いとこあるね〜」
が、これが間違いだった。
「せんせー、雪乃が調子悪いって〜」
「はぁ!?ちょ、何言って………」
「そうですか、ではカルマ君保健室に連れていって上げてください」
ちょっとそこのタコ!
何て抗議する暇も与えられず、私は強制的に保健室に連れていかれた。
66人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時