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大分昔のことだ。
多分、小学2年生のとき。
私は超絶音痴で、音楽という教科において成績はまさに下の下だった。
『音感はあるのにね……。
まあ、3年生になったらリコーダーがあるから、そっちで頑張ろう?』
と、音楽の担任だった先生に見捨てられたほどには音痴だった。
業は私の手首を掴んで自分の口からどかすと、再び口を開く。
今度は塞がれないよう、少し強めに手首を掴んだまま。
「毎回毎回歌のテスト前日に泣きついてたよね〜。
一番笑ったのは楽譜よんでって言われて歌ったら、『ごめん、ピアノで……』って言われてた…っっと、きっ」
「笑うな!うっさい!こっちだって羞恥心ってもんがっ!!」
離せと連呼しながら掴まれた手首を前後にふる。
が、全然意味がない。
いつの間にか、大分力の差がついてしまったのだ。
「それで、雪乃ちゃんってカルマ君とはどういう関係なの?」
取っ組み合いに変わっていった私達を止めるように質問した渚君は、ちょっと困ったような顔をする。
それに対して私は、否、私達は声を揃えて
『ただの幼馴染』
と、簡潔に答えた。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時