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「なーぎーさーくんっ?」
私が笑顔で両肩を掴むと、相当驚いた顔をする渚君。
「あ、あれ?
お店見に行ったんじゃないの?」
「んー、そうなんだけど、問題発生?」
困惑しているのを無視して、私は渚君の着ているパーカーのチャックを閉め始める。
「何やってるの?」
「渚君を女の子にしてます」
「意味わかんないよ!?」
「雪乃、やるならもっと極めようよ」
「業君もやめて!」
何とか女の子っぽく見えるかなと満足できるところで、私は手を引いて残りの2人に告げる。
「じゃ、渚君かりてきまーす」
返事は聞かずにlargoへと足を進める。
実は今、お店でオープンフェアをやっているのだ。
女性お2人様で来店で全品10%オフ。
入り口に張り紙が貼ってある。
その内容を見て、渚君は理解したらしく盛大に溜息をついた。
「駄目だな、渚君。
幸せ逃げちゃうよ?」
「もう逃げてるよ」
お店に入って商品を眺めながらお客さんの様子を伺ったが、渚君を疑っている様子は無い。
しめしめと思いながらじっくりと選ぶ。
「そういやさ、渚君。
君に聞いてもらいたい話、いいかな?」
商品を選ぶ手を止めずに尋ねた。
「うん、いいけど……」
「この前言った、伝えたくてもそれが出来ないってやつ」
それを口にした瞬間、渚君の顔が一瞬強張る。
それからもう一度頷いたのを確認してから、私は話し始めた。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時