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翌日の朝。
目覚まし時計が鳴り響く前に目覚める。
珍しいと思いつつも時計を確認すること3秒後。
「うっわ、時計セットし忘れたっ!」
ベッドから跳ね起きた私は、急いで支度をする。
現在の時刻は午前7時。
余裕をもって学校に着こうと思うと、後10分で準備しなければならない。
朝ごはんは諦めて制服に身を包むと、インターフォンが鳴る。
こういう時に限ってアイツは来るのがはやい。
わざとじゃないかとさえ思えてくる。
私は歯ブラシをくわえたまま勢い良く玄関のドアを開けた。
「業助けて寝坊した!!
髪やって髪、寝癖直すだけだから!!!!」
一瞬驚いたような顔をした業だったが、やがてお腹を抱えて笑い出した。
「もう、笑わないでよっ」
「わかった、わかったから」
わかったと言いつつも笑っている業を睨むと、何事も無かったように洗面所はどこかと聞いてくる。
案内してから櫛やら色々と渡すと、それを使って私の寝癖を直す業。
「何か、昔の事思い出すね」
不意に業が言葉をこぼす。
「そうだね、昔も寝坊して業に髪やってもらってさ」
何だか懐かしくなってしみじみとする。
「うん。
だからツインテールにしちゃった」
「おいっ!」
ニヤニヤ笑いながら鏡の前に私を移動させる業。
相変わらず手際がいいというか、手先が器用というか。
結局解かせてもくれなくて、ツインテールのまま学校にむかった。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時