【暗殺教室】心の奥に (ページ31)

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＃３０ページ31

雑誌の取材を終わらせた私は、スマホにメールが来ている事に気がついた。

業からだ。

『明日も迎えに行くから。
明日はちゃんと余裕持って行くよ』

そう、簡潔にまとめられたメールだった。

けどこれが業の優しさだって知ってるから、ついつい嬉しくなって笑が溢れる。

「意外、雪乃ちゃんってそんな顔も出来るんだね」

「え？」

急にライターさんに話しかけられる。

「私、どんな顔してましたか？」

「なんだか、優しい顔。
宝物を見つめるみたいな、愛おしそうな顔かな」

笑ってそう告げるライターさんの言葉に、はっとした。

いつの間にか、私はこんなにも色んな顔を取り戻していたのか。

一度は失ってしまったものの大きさは計り知れない。

けれど、もう一度得るもの、代わりに得るものも多いということか。

私はもう一度メールの内容を読み返し、返事を打つ。

『次は置いてくからね』

そう書いて返信したメールを見て、業はまた笑うんだろう。

そんな些細なことまで想像できてしまう私は、相当業に惚れ込んでいるらしい。

ちゃんと送信出来たことを確認すると、マネージャーのもとへ行く。

お互いの間に会話は一切なく、その日の仕事は無事に終わりを迎えたのだった。