【暗殺教室】心の奥に (ページ30)

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＃２９ページ30

業side

『また明日』

そう言って雪乃が車に乗リ込み、見えなくなるまで眺めたあと。

３人は暫くその場から動くことはなく、話すことも無かった。

だが、そんな沈黙を茅野ちゃんが破る。

「雪乃ちゃん、笑ってなかったね」

先程の事を思い出すようにして言う茅野ちゃん。

確かに、笑ってはいたがあの笑顔は偽物だ。

それに、あんなに作った雪乃の笑顔を見るのは初めてだった。

「昨日の自己紹介の時と同じ顔してた」

「自己紹介の時もあんな顔してたの？」

渚君は頷いて肯定し、俺はそれに衝撃を受けた。

俺の知っている雪乃は、笑顔を作ったことが無かったからだ。

しかも、笑顔を作るということに慣れてしまっている。

俺は小さい頃から雪乃をみてるし、渚君はよく人の表情を読み取っていて、茅野ちゃんはああ見えて人の心情の変化に敏感だ。

だからか、ここにいる３人には分かったが、他の人はきっと気付かないだろう。

「そういえば昨日、雪乃ちゃんに言われたんだ。
『本当の私を見つけてくれたお礼』って」

「本当の雪乃？」

桐谷という苗字といい、雪乃は絶対に何かを隠している。

この時初めて、俺は雪乃の抱えている問題の一部に気付いた。

けれど、それは本当に問題の一部に過ぎなかった。