【暗殺教室】心の奥に (ページ19)

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＃１８ページ19

次の日の朝。

業が迎えに来るのを待っていると、インターフォンの音がリビングに響く。

父も母も、もう出かけていった。

次に帰ってくるのは、またマネージャーが家にくる日だろう。

二人ともこの家ではなく、本家の豪邸が好きなのだから。

この家だって、同情で建てたようなものだ。

鞄を持って玄関の扉を開ける。

もちろん、そこにいるのは業だ。

「おはよ～」

「おはよう、業」

いつも通りの間延びした声で言う業に、本当の笑顔がこぼれる。

この顔を母や父が見たらどうなるのだろう。

きっと、もっと上品に笑えとか思うんだろうな。

「何考えてんの？」

「業の隣が一番だなって」

「何それ、変」

理解できないといった顔で変と言い切る業。

失礼だなって足を踏んでから駅への道を走り出した。

隣に並んだ業がこれまたのんきに話し出す。

「ところで雪乃。
時間ギリギリだけどだいじょーぶ？」

「だいじょばないからこんな必死に走ってんでしょうが！！
お前も喋ってないでもっと走ればか！！！！」

時刻は午前７時２０分。

HR開始時間が８時２５分で、学校に行くまでにかかる時間約１時間。

やっぱり業は置いていくべきだったと後悔しながら、ひたすら業の腕を引いて走った。