#15 ページ16
電車を降りた私達は、帰り道を並んで歩く。
そのペースは、誰が見ても遅かった。
「う〜………。
めっちゃ気持ち悪い……」
「そんなんで朝どうやって来たの?」
「人類の三台乗りのも酔いでトップを誇る車」
朝は寝ていたから全然平気だったが、明日は電車だ。
……通えるだろうか、私。
これからの電車通学のことを考えて、また気分が悪くなって立ち止まる。
「あーあ、こんなんじゃいつまで立っても帰れないじゃん」
「どーぞ……お先に帰ってくださいよ」
「あのさ、こんな状態の雪乃を置いて帰る訳ないでしょ?」
業は少し声のトーンをおとして言ってから、私の前に来てしゃがんだ。
「…何してんの」
気付かない程鈍感ではないが、一応聞いておく。
「乗らないなら強制でいくしかな………」
「あ、ありがとうございます」
業の言葉を遮ってから、少し遠慮がちに背中に乗る。
そのあと、業がゆっくりと立ち上がった。
「重い……」
「何かおっしゃいまして?」
そう言いながら、軽くしめた。
業は私の腕を叩いてごめんなんて訴えてくる。
それから、他愛ない話をしなつつ結局業に家の前までおぶってもらった。
もう一度しっかりお礼を言うと、明日迎えに来るって言って、来た道を引き返していく。
その背中を、私は暫く見つめていた。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時