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昼放課の後の授業も過ぎ、時は放課後。
家に帰らなければいけないと思うと、ため息しか出てこない。
「そんなにため息ついてどうしたの?」
鞄を持った渚君が私に尋ねる。
カエデちゃんも一緒だ。
「ん……こんな言い方したらダメだけどさ、ちょっとこの後嫌な人に会わなきゃなんだよね。
そんなことより二人は?」
「あ、うん。
途中まで一緒に帰ろうと思って」
そう言って笑顔を見せる渚君は、失礼ながら天使に見えた。
私は隣で爆睡している男を揺する。
「かーるーまー!!起きて、もう皆帰ってますよっ!」
「……ん?」
少しかすれた声で声を発してから、業は伸びをする。
「渚君とカエデちゃんが一緒に帰ろって。
それとも一生ここで寝とく?」
少しからかって言った私を完璧にスルーしながら、業は帰る支度を始めた。
こっちに来た私の家は業の家の近くで、曲がり角が一本違うくらいだ。
私は家はどこだと訴える業の目線に、そうこたえてやる。
少しくらい話せっての。
口ないんですかそうですか。
「……………」
「……………」
お互い、無言でにらみ合う。
もちろん、業と。
「2人とも、何で何も話してないのに喧嘩してるのっ!?」
そんなの、業が何考えてんのかわかっちゃうからだよ。
「私とアイコンタクトで会話しようとしないでっ」
慌てふためくカエデちゃんに免じて、ここは許してやろう。
私はふっと鼻で笑ってから帰ろっか、と言って教室を後にした。
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時