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#11 ページ12

『桐谷ってどういうこと?』


業に言われた言葉が、何ども何ども繰り返し頭の中で木霊する。


「何って……別に、そこまで深い事情なんか…」


「じゃあ、何でか教えてよ。
深い事情はないんでしょ?」


この時にはもう、業の言葉は怒りを含んでいた。


「別に、どうでもいいじゃん。
………………………苗字が変わったことなんて」


そう、この桐谷という苗字は2年ちょっと前にもとの一宮から変えたものだ。


アメリカに行ってたった数ヶ月後の出来事。


「苗字が変わろうがなんだろうが私は私だ。
それ以上でも以下でもない。
……ずっと音信不通だったことは悪いと思ってる」


私は爪が食い込む程に拳を握りしめた。


「それでも、言いたくないことだってあるよ」


これ以上は言えないと、下唇を噛む。


怖くて業の目を見る事ができず、うつむいた。


どれ位そうしていただろうか。


たった数秒かもしれないけど、何分にも感じられた。


「………あ〜あ、そんな涙ためて言わなくてもいいじゃん」


そう言った業は自分の親指を私の口元に持ってきて、噛んでいた下唇をもとに戻す。


それから軽く頭をポンポンして言う。


「いつか話してくれんなら待つけど?」


私は頭の上に置かれた手が温かく感じて、やっぱりうつむいたまま、


「……いつか、業に聞いて欲しい」


そう答えた。

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設定タグ:暗殺教室 , 赤羽業   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:聖泉りか | 作成日時:2015年2月9日 2時

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