かき氷のシロップが少し足りない (ページ9)

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浴衣ページ9

そして待ちに待った夏祭りの日。

あいつは俺の家で着替えていた。

渡辺「って、なんで俺の家で着付けしてんだよ。」

『ママと喧嘩した。』

樹「それで俺はママが怒ってるの怖いから逃げてきた。」

Aの２つ下の弟、樹。

『樹、はやく準備しないと！

彼女待たせちゃうでしょ！』

樹「彼女じゃねーしー。あの女が勝手に誘ってきたんだしー。」

とにかく女関係がゆるゆるな樹も祭りに行くらしい。

『それにハナちゃんの髪やるって約束したし。』

ハナは俺の妹。

毎年Aがハナの髪を結んでる。

渡辺「ハナもそろそろ1人でやれよ。」

ハナ「えー、だってAちゃんがやったほうが可愛いもん。」

中学生のくせしていっちょまえに豪華な髪にしやがって。

渡辺「ほんとAはハナに甘いんだから。」

まあいいけど。

俺が1番にあいつの浴衣姿見れるってことだし。

『ハナちゃん！1人で着付けできる！？

翔太ママ今日お仕事でしょ！』

ハナ「できない～！Aちゃんやって！」

………

『ごめん遅れちゃってー！』

岩本「あ、ちょ、A浴衣で走っちゃだめ！」

深澤「別に遅れてもいいんだけどさ、

どうした？なんかあったの？」

渡辺「Aがハナの着付けに時間かけてたから。」

結局Aはハナの髪も着付けもやり、

自分のまでやった。

岩本「あ、ハナちゃんもいるんだ。」

『うんーもう先に行っちゃったけどねー。

それよりさ、浴衣どう？似合ってるー？』

ぴょんぴょこするAの髪が揺れて

ふわっと香る甘い匂い。

今日はメイクもしたらしい。

浴衣と相まって胸が騒ぐ。

深澤「いいんじゃなーい？」

岩本「うん、似合ってると思うよ。」

そんなの、俺が1番思ってるっつーの。