かき氷のシロップが少し足りない (ページ15)

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闇の中、一人ページ15

電話越しにふっかに言われた。

深澤「なんか救急車来てさ、大混乱なわけよ。

でも20分はかかんねぇよ？あれ嘘な！

そう！それでさ！神社の階段登ったとこにさ、

かき氷屋さんあるかもしんねーから

そっから貰ってきたらさ

翔太の株上がるんじゃね？

線香花火も買って！

それで打ち上げまでの時間潰せるっしょ！」

渡辺「ふっかは？どうすんの？花火間に合わないっしょ？」

深澤「俺友達と会ったし友達と見るわー。

だから翔太はAと2人でロマンチックな夜を…」

渡辺「うるさい。」

ほんと、株上がるとか余計なお世話だっつーの。

ラッキーなことに境内にかき氷屋さんは二軒もあった。

渡辺「すいません、友達が足挫いちゃって。

もしよかったら氷とかちょっともらえたりしますか？」

「あ、そうなの！それは大変だ！もってきな！」

優しい人でよかった。

渡辺「A！氷もらってきた。

…え？泣いてる？」

ほんの5分の間だ。なにがあった？

『っ、ううん、なんでもないっ。

ありがとっ。』

と言って氷が入った袋を足に当てる。

なんでもなくて泣くやついるかよ。

渡辺「なぁ、なんかあった？」

『なんもないもん、うるさいっ。』

渡辺「俺、Aに泣かれると弱いの知ってんだろ。」

ったく、ほんとに。

『理由ゆったら、笑われる。」

渡辺「はいはい、笑わねーから。」

『ぜったいだよ？』

渡辺「うん、絶対。」

『調子乗って、すっ転んで、足挫いて、

翔太におんぶさせて、ふっかに氷取って来させて

みじめだなぁ、って思ってたの。』

もうこの時点でちょっと可愛いなって思ってしまう。

『それで、ここちょっと薄暗いから、

怖くなってきちゃって…』

渡辺「ふはっ、」

『ほら笑った。もう翔太嫌い。』

涙目で嫌いとか言われてもなぁ…。

渡辺「だってさぁ、Aかわいんだもん。」

『は？』

やべ、口が滑った。

渡辺「いや、そのさ、小さい子みたいで…。」

『子供扱いすんな！』

渡辺「わりーわりー(笑)」

『許さん。』

渡辺「ほら、泣き止んだ。」

『へ？』

寂しい思いさせて、ごめんな。