甘々イチゴ【すとぷり短編集】

帰り道. ページ42

3 帰り道

ーAsideー

『つっかれた…』

伸びをしながら1人で呟く


学校の帰り道

家に帰ったらジェルが居るんだなぁ
なんて段々不法侵入にも慣れてきたこの頃


？｢あ、Aじゃーん｣


聞き慣れた耳障りな声に不快感を覚えながら
振り向く

やっぱり

あいつだ

(悪役)

(悪役)｢なにしてんのAちゃーん｣

『帰ってる…だけです』

(悪役)｢ちょうどいいとこじゃん♡｣

いや何がちょうどいいんだよ
と内心ツッコミを入れる

(悪役)｢ちょーっと服をリメイクするだけだよ♡｣

そう言ってカッターを取り出した

何をするのか全くわからない

(悪役)｢…ちょっと壁に張り付いてて？｣

怖くて言われた通りにしかできない

ガクガクと震える体

(悪役)｢ほーら綺麗な紅になったー♡｣

肌がチクチクと痛い
理解するのにさほど時間を要さなかった


腕を切られた


溢れ出す紅の体液によって
紅に染っていく制服

『な…』

(悪役)｢綺麗ジャーン｣

逃げるんだ

本能的にそう感じるも
体が震えて逃げることが出来ない

(悪役)｢もっと紅にしよ♡｣

吐き気がしそうな口調に寒気を覚えながら


もう抵抗することも逃げることも出来ないのか


とこいつに従順になってしまった体を見て
考えるのを辞めかけている脳の端で
ぼんやりと考える

あぁ

(悪役)｢次はここー♡｣

もうダメだ


｢おい何してんだよ｣


脳裏に響いた声

目の前を埋めたのは


大好きな橙色だった。

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