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約束の最寄り駅に着くと、廉がいつになく真剣な顔で立っていた。
そんなに、緊張しなくてもいいのに。
「ごめん、お待たせ」
そう言うと、「あのさ」と神妙な顔で口を開く。
「やっぱり、別れてほしい」
予想外の言葉に、「ちょっと待って、何で？」と思ったことがそのまま口から飛び出した。
「俺のせいやねん、紫耀が死んだの」
駅前の時計が午後5時ちょうどを知らせる鐘を鳴らした。
「俺がAの大切な人の命、奪ってもうた。
俺のこと助けるために、紫耀は死んだんや」
「……何で謝るの」
「紫耀もAのことが好きで、ふたりは両想いになる予定やったんに俺のせいで……」
廉の灰茶の瞳が、大きくゆれている。
「廉は、わたしのこともう好きじゃない？」
彼の瞳に映ったわたしはすごく情けない顔をしていたと思う。
「好き……やけど、この気持ちも、ドキドキも全部
もしかしたら、紫耀のものかもしらんと思うと……。
Aが好きになったんも、俺のなかの紫耀やったんかと思うと、
Aにも、紫耀にも、申し訳ないから」
「……気づいてたよ、廉の心臓が紫耀のだったって」
そう告げれば、「……へ？」と間抜けな声を出す。
「紫耀も、わたしのやけどの痕のこと『火の鳥みたい』って言ったの。
それ以外にも、ふたりは全然似てないはずなのにたまにまったく同じこと言ったりして。
あの日廉が紫耀の話をするのを聞いて、ふたりが知り合いだってことも分かったし」
そう。あのとき、わたしは気づいた。
廉のなかで、紫耀がまだかすかに息づいていることに。
紫耀の死はすなわち、廉を救うという彼の願いでもあったのだろうということに。
「じゃあ、何で……？」
廉は捨てられた仔犬のような目をして、俯きがちにそう尋ねてきた。
「廉のことが、好きだからだよ」
こんな恥ずかしいこと、今更言わせないでよって大げさに笑い飛ばすけど、
「でも……」と弱気になるから厄介だ。
「わたしは廉のことが好きだし、それに……わたしたちは、共犯者だから」
「……共犯者？」
「うん、廉がいなければ、紫耀は死ななかったかもしれないし
わたしがいなければ、紫耀は死ななかったかもしれない。
だから、共犯者」
あの日、ずっと拒んでいた彼の好意を受け入れたのは
彼もまたわたしと似た者同士であるということに気付いたからなのだ。
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夜木(プロフ) - いむさん» ご丁寧にありがとうございますw一気読みお疲れさまでした！珍しくあまりボケずに書いたので気に入って頂けて良かったです( ;∀;)(by生きてる紫耀くんメインが完結しない平野担) (2020年11月17日 22時) (
レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
いむ(プロフ) - 夜分遅くに失礼致します。一気読みして大号泣しました。物語でこんなに泣いたのは初めてだと思います。それくらい、心に響く作品でした。ありがとうございました！ (2020年11月17日 2時) (レス) id: 1eeed365fd (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - れおさん» れおさん、コメントありがとうございます。とても嬉しいです！！！ (2020年6月13日 13時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
れお(プロフ) - コメント失礼します。めちゃ涙腺崩壊でした。紫耀くんが優しさの塊で…切なさもありつつ、感動もあって最高でした！！何回も読み直してます笑 (2020年6月13日 9時) (レス) id: ad2f82eb65 (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - HARUさん» HARUさん、ありがとうございます！コメントとても嬉しいです！途中かなり放置してしまったのに最後までお付き合いいただき幸甚の至りでございます。笑 HARUさんのヤンデレ海ちゃん、楽しみにしております！無理なさらず頑張ってください(*^^*) (2020年5月27日 12時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜木 | 作成日時：2020年4月1日 1時
