△30 ページ30
「その指輪、恋が叶うんデスヨ」
少しだけ不思議なイントネーションの日本語の声に目線をあげると、
現地の方らしい土産物店のお姉さんだった。
「ふたりで、いかがデスカ？」
何だか断るに断れなくて永瀬と苦笑し合う。
「買っとく？」ってあくまで冗談っぽく。
値段もそんなにするわけじゃないし、他に何か買う予定もないし。
もしかしたらそんなのは、全部言い訳かもしれないけど。
本当はもっと、近づきたいんだよ。
寂しいから、ずっと近くにいてほしい。
クラスが離れたり、高校を卒業したりして
永瀬にはこれからも新しい友だちが増えていくだろう。
そうしたらわたしは、永瀬の特別ではいられなくなる。
それじゃ、嫌なのに。
近づきすぎると、失った時の寂しさに余計に耐えられなくなるから。
そう知っているから。近づけない。
だからあの時も、私は間違いだと分かり切った選択肢を選んでしまったんだ。
───�盒兇呂機帖長イ�な人とかおるん？
───……いないよ。
「じゃあ、これひとつずつで」
そう言って小さなショルダーバッグから長財布を取り出す永瀬を見て胸がきゅんと痛んだ。
「あ、お金……」
ぼーっとしていたら、永瀬がひとりでレジにいて咄嗟に隣に行くけど
「ええって。付き合わせてもうたし」
と彼はわたしの手を制した。
「これからも、彼女さんのこと大切にしてあげてクダサイネ」
お姉さんはやっぱり勘違いしているようなのに、
「はい！指輪も大切にしますね！」
と少し照れたように笑う永瀬はやっぱり私には眩し過ぎて直視できない。
けれど、本当は彼の笑顔が作る陽だまりの中にずっと居たい。
これからも、ずっと。
いつまでも、ずっと。
───なぁ、A。永遠に変わらんもんって何やと思う？
永遠に変わらないものなんて、ないのかもしれないけれど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 332人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜木(プロフ) - いむさん» ご丁寧にありがとうございますw一気読みお疲れさまでした！珍しくあまりボケずに書いたので気に入って頂けて良かったです( ;∀;)(by生きてる紫耀くんメインが完結しない平野担) (2020年11月17日 22時) (
レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
いむ(プロフ) - 夜分遅くに失礼致します。一気読みして大号泣しました。物語でこんなに泣いたのは初めてだと思います。それくらい、心に響く作品でした。ありがとうございました！ (2020年11月17日 2時) (レス) id: 1eeed365fd (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - れおさん» れおさん、コメントありがとうございます。とても嬉しいです！！！ (2020年6月13日 13時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
れお(プロフ) - コメント失礼します。めちゃ涙腺崩壊でした。紫耀くんが優しさの塊で…切なさもありつつ、感動もあって最高でした！！何回も読み直してます笑 (2020年6月13日 9時) (レス) id: ad2f82eb65 (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - HARUさん» HARUさん、ありがとうございます！コメントとても嬉しいです！途中かなり放置してしまったのに最後までお付き合いいただき幸甚の至りでございます。笑 HARUさんのヤンデレ海ちゃん、楽しみにしております！無理なさらず頑張ってください(*^^*) (2020年5月27日 12時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜木 | 作成日時：2020年4月1日 1時
