スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ10)

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#break time ページ10

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「Aさん…？」

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感じるまま夢中になっていたら

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小さく高い声を上げたあと、
Aさんは意識を手放してしまった。

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何も言わないのをいいことに
細いけど程よく柔らかい愛しい身体を後ろから思い切り抱きしめた。

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「疲れちゃった…？」

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帰ってくるなり黙って抱きついてきた俺に、
Aさんはまるで何でもお見通しというようにそう聞いた。

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ただ歳上の彼女だからじゃない。

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俺のことを理解してくれて

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何も言わなくても気づいて

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でも押し付けがましい優しさなんて見せずに

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黙って寄り添ってくれるAさんが

あぁ、やっぱり大好きだなぁって

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愛情を通り越してなんか感動して

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黙って抱きしめていたけど

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大好きだと思えば思うほど

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俺のものにしたいって気持ちがめらめらと芽生えて

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それを言葉にすれば

「もうとっくに紫耀くんのものだよぉ」

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とかいって照れたように笑うんだろうけど

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身体で確認したくなるのも
男の性ってモンで…

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Aさんのこと、

ちゃんと見ながらしてたはずなのに

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スースー…

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脱力してしまった手足、
穏やかな寝息を立てているところをみると

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最後はやっぱり自分本位だったのかも

ってちょっと反省した。

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しばらくして、

前髪にじんわり汗をかき始めたAさんが

ぱちりと瞼を開くと

小さく咳払いをして寝返りを打ち

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「あっ…紫耀くん…」

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目の前にあった俺の顔を見て
ぽわっと頬を赤く染めた。

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「…身体しんどい？」

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さっき反省したばかりの俺は心配なのに

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「ん、ううんっ…大丈夫」

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泳ぎまくる視線や

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いつまでも恥ずかしがってくれる初心なところに

またいじわるしたい気持ちがふつふつと。

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「じゃあよかったってこと？」

「なっ…！ばかっ」

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さっきの反省はどこへやら。

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拗ねてまた背中を向けるAさんの肩に

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かぷりと噛み付いて

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びくんと震える様子に満足して目を閉じた。