スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ25)

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episode70 ページ25

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家に帰って
姿見の前でパーティー用にセットしていた髪やアクセサリーを解く。

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もう時計は夜中の３時を回っていて

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「先に寝ててね」
と伝えたのに

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「…ん？…なに？笑」

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鏡の前に立つ私の真後ろに立つのは

本当は今すぐにでも寝そうな
重たい瞼を半分閉じかけの紫耀くんで

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「なんか、おめかし可愛いからもったいない…」

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ぽそっとつぶやくと
私の肩に顎を乗せて目を閉じる。

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「ちょっと、紫耀くん！こんなとこで寝ないで！笑」

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肩に乗った
小さすぎる頭をそっと押し返すけど

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「くるんくるんやね」

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編み込んでピンで止めていたせいで
解いたら跡がついていた髪を

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紫耀くんの指が絡めとって

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「こっちはきらきら」

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そのまま、その指が
耳たぶにぶら下がったゴールドのピアスを揺らす。

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「…しょ、くん」

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鏡越しに目があうのが

なんだかすごく色っぽくて

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故意に揺らされたピアスに
ぞわぞわして身を固めると

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「ん？どした？」

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相変わらず鏡の向こうの紫耀くんが
意地悪そうに口角を上げて

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「…！！！」

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そのまま耳たぶを
カプっと甘噛みされた。

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驚いて目を大きく見開いたら

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またしてもばっちり目があって

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「もっ…しょー、くんっ！！」

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恥ずかしさのあまりに
さっきより強めに押し返すと

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「…だって、ほんとにかわいいんやもん…」

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「しょうがないでしょ」とでも言うように
私の頭を撫でた手のひらが

そのまま後頭部に回って、

反対側の腕に思いっきり引き寄せられて

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優しく重なる唇

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どちらかと言うといつもは
強めに重ねられる熱い唇は

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今日は冷たくて、ちょっと震えてて

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「こんなかわいいドレス着て、あんな時間にひとりで外にいるなんて言うからすげー心配した…」

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唇が離れたら
珍しく困った顔して私を見てる。

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「心配かけてごめんね、お迎えもありがとう。飛んできてくれたの嬉しかった」

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男らしいのに
仔犬みたいなうるうるの瞳で見つめられると

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抱き締めてくれる分厚い体を
ぎゅっと抱き締め返した。