スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ23)

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episode68 ページ23

sho side

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映画を観ているうちに眠ってしまったらしく

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目が覚めたらもう日付が変わっていて

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重たい瞼を擦りながらスマホをみれば

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「えっ」

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Aさんからのメッセージが３件。

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ひとつは40分前、
結婚式とその二次会が終わったっていう連絡で

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ふたつめはその後すぐ、
マンションに帰るための電車に間に合わないかもしれない、という連絡
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３つ目は５分前、
返事がない俺を心配する内容で

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メッセージを読み終えるなりすぐに
電話をかけると

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「もしもし？」

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数コールで繋がって
疲れているのかちょっと眠そうなAさんの声。

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「ごめん、俺寝てて…今どこ？」

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「今ね、タクシー待ってるとこ」

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「え、まだ外？今日は帰ってこれんの？」

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電話の向こうから聞こえる喧騒に
心配な気持ちがつのる。

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「そっちに帰りたかったんだけど終電に間に合わなかったの。走ったんだけどね？ヒールじゃ思うようには走れなかったー。そんなことしてたら実家のほうにいく電車もなくなっちゃって…で、タクシー待ち。」

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悔しい〜なんて
ケロッとして話すAさんだけど

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「俺迎えに行く。ネカフェでもなんでもいいから屋内で待ってて？」

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俺の心配な気持ちはもう爆発寸前で

そう言いながら部屋を出て

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「えーでも、遠いもん。悪いよ」

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遠慮するAさんがそう言ったころには

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「もう向かってるから大丈夫」

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車を走らせたところだった。

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Aさんの地元までは
昼間なら車で1時間半くらい。

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夜中の道路はかなり空いていて
ぶっ飛ばしていけば
時間はかなり短縮できそうで

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途中赤信号で確認したメッセージで
漫画喫茶に入れたことを確認したらほんの少し安心。

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気持ちばかりが先に行って

じりじりとしか縮まない
Aさんの地元までの案内標識の距離に

1人、モンモンとしたけど

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なんとか予定よりも大幅に早く
Aさんの待つ漫画喫茶の前に車をつけたら

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「ついたで降りといで」

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メッセージを送って

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まもなくして
申し訳なさそうに階段を降りてきた
パーティードレスにコートを羽織った
可愛すぎる格好のAさんに

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「あー、やっぱ来てよかったーー」

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本気で安心した。

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