スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ11)

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episode56 ページ11

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今日は紫耀くんが地元・名古屋に泊まりの仕事で帰ってこない日。

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「夜空き時間があるから会おー！」

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昨日の夜、
地元の友達と嬉しそうに電話をしていたから

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壁時計が夜の８時を指しているのを見て

今頃その友達と会えてるかな？

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なんて思う。

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テレビをつけると、
収録番組だけどちょうど紫耀くんが出ていて

こうやって会えなくても会えるような不思議な感覚は特殊だなぁ…と

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相変わらず天然発言でスタジオをざわつかせている彼を見て思わず笑みが溢れた。

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だけどやっぱり

東京にいないと思ったら
なぜかいつもとは違う寂しさもあって

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おつかれさま

とか連絡してみようかと
スマホに手が伸びるけど

久しぶりの地元で
なかなか会えない友達と楽しんでると思ったら
持ち上げたスマホをまたテーブルに戻した。

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ベッドに入ろうと思った頃に待ちわびた連絡が来て

スマホを開けば送られてきたのは一枚の写真で

【みんなわざわざ集まってくれた！！】

という嬉しそうな文面付き。

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写真を開いたらどこかのお店に
紫耀くんを取り囲むように大勢の人が笑顔で映る写真で

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当たり前だけどみんな若くて
どこかヤンチャそうな人も多くて。笑

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無意識に紫耀くんのとこをアップしたら

隣にうつる派手な女の子に

なんかモヤッとする。

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地元の友達って言ってるんだから
本当にただの友達だろうけど

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なんか…

距離近くない？

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でも写真に映るためにぎゅっとなってるだけだろうし

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…でも…

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って、

私こんなにヤキモチ焼きだった？

と自分でも思うくらい

心の狭さに嫌気がさす。

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【楽しそうだね！】

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精一杯の「！」で

このモヤモヤした気持ちを振り払おうとしたけど

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写真をみればみるほどに
モヤモヤは増して

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普段から休憩中などに送られてくる写真は
迷わず保存するけど

保存ボタンを押す気になれない。

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それから紫耀くんの返事もなくて

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今日はもう寝てしまおう、と思って
ベッドサイドのランプを消すと布団を被った。

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いつもよりずーっと広いベッドに
また心がキュウ…となるけど

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普段紫耀くんが寝る側に寝返りを打ったら

紫耀くんのにおいがして

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「早く帰ってこないかなっ…」

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思わず口を出た言葉に
ひとりで恥ずかしくなった。