スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ2)

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episode49 ページ2

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それからというものの、

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彼からは時々
突発的に連絡が来て

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「今日もありがとうね。」

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「こちらこそ」

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ドライブしたり、

人目の少ない海や、公園でおしゃべりしたり

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気づけばお互いの仕事の愚痴も話せるくらい
親密な仲になっていた。

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「おまたせ！乗って！」

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何度目かのドライブのお誘い。

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慣れたように彼の助手席に座れるようになったけど

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今日は横浜のみなとみらいを
彼の運転でドライブだけして

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「本当は車から降りてゆっくり歩けたらよかったんやけど…」

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帰り際の寂しさにはまだ慣れない。

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何度も会っているのに
気を遣っていつものコンビニで私を下ろしてくれようとする彼に

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「すぐ近くなんだけどね、お家までお願いしてもいい？」

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あと１分でも長く一緒にいたい、って

そう思ってお願いしたら

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紫耀くんは
一瞬だけびっくりした顔をしたけど

「もちろんええよ。どっち行ったらいい？」

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すぐにくしゃっと笑った。

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コンビニから、歩いてもすぐのマンションは
車だと本当にあっという間で

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「ごめんね、ありがとう。」

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マンションの前で車を停めてもらうと

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「またね！」

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いつも通りに車を降りようとした。

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けど、

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「待って…」

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シートベルトを外した音とともに、

降りようとして向けたはずの背中にぬくもりを感じて

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開けかけたドアを
静かに閉めて振り返ると

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「Aさん…俺…Aさんが好きです。」

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まんまるな黒い瞳は

真剣で、少しだけ鋭くも見えて

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「え…」

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「俺、前にAさんが俺のこと普通だって言ってくれたのすげー嬉しかった。
俺こんな仕事してるから、やっぱり何でも自由ってわけにはいかないけど…でも俺は自分の気持ちには嘘つきたくない。
普通に誰かを好きになって、普通に誰かと結婚して…そういう風になりたいんだよ」

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「…紫耀くん…」

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「重たいかもしれないけど、俺の好きってそういうのも考えてのことだから…。だから、俺Aさんのこと絶対守るから、付き合って下さい」

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そういうと紫耀くんは
深く頭を下げた。