スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ20)

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episode65 ページ20

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“あの日”は寒い冬だった。

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新曲をリリースした紫耀くんたちは
音楽番組のクリスマスライブに生出演の予定があって

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「クリスマスは仕事だから会えないと思う。ごめんね。」

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あらかじめそう言われていたから

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クリスマス当日はなんにもない平日と同じように

大人しく仕事をこなして、

せめてものご褒美に

ちょっとくらい贅沢しちゃおうと思って買ってきたチキンを食べながら

テレビの前で生放送を眺めていた。

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紫耀くんたちの出番を今か今かと待ち構えていたら

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ー♪♪♪

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スマホが鳴って

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送られてきたのは

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ー今日の生放送うまく踊れたらご褒美ちょーだい

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という紫耀くんからのメッセージで。

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「うまく踊れたらって…」

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私からみたらいつもピカイチに
かっこよく踊っているし

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ダンスに詳しくないから
細かいことはわからないし

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でも何かをおねだりしてることはわかったから

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ーわかった、いいよ！

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そう返事を送る。

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しばらくして登場した紫耀くんたちは

さすがアイドル、
キラキラ輝いて見えて

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みんなすごいけど当たり前に紫耀くんばかりに目がいった。

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生放送が終わって程なくして

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ー見てくれた？？

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またしてもメッセージが届いて

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ー見てたよ！すっごくかっこよかった！

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そう返事をしたら

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ーじゃあご褒美くれる？

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なんてまたすぐに返事がくる。

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ーいいよ、なに？

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何を企んでいるんだろう…

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気になって仕方ないけど
そこから彼の返事はぷつりと途絶えて

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待てをさせられてる犬みたいに、

ソワソワしながら待っていたら

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ピーンポーン

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アパートのインターホンがなって

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「え？！紫耀くん？」

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突撃なんてされたことないから
驚いてドアを開けたら

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「えへへ、来ちゃったー！」

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よほど寒いのかマフラーをぐるぐる巻いた紫耀くんが

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「メリークリスマス！Aさーん！」

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ってさっきテレビで見たようなキラキラ笑顔を私に向けた。

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「しょーくん、ご褒美ってなにがほしいの？」

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気になりすぎていた私はニコニコ紫耀くんを部屋にあげて真っ先に尋ねる。

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すると

紫耀くんはすこしだけモジモジしたあと

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「Aさんと一緒のお家に住める権利がほしい！」

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そう言った。