19 ページ19
・
"今日は公園行かないから真っ直ぐお家に帰りましょう"
そうメッセージを打ってからスマホをしまって、隣にいる友達に視線を戻した。
定期的に開かれる仲間内の呑み会。
「なに彼女？」
「違う違う。……友達かな」
何故かにやけ顔の照さん。
なんでやんすか？とむくれて見せれば、目の前のビールを一口呑んで人差し指が佐久間を捉えた。
「いやそれにしてはスマホ見つめる瞳が優しかったなって？」
「なんだそれ。変わらないし」
「なに？ なんの話し？」
そこへトイレから戻ってきた翔太が割り込んできた。
「佐久間の色ボケ話し」
「ボケってなんだよー」
「は？ 佐久間女できたの？」
「いや、そういうんじゃないし」
「照れてる」
「ぬはっ、佐久間あ、かわいい」
翔太と照にからかわれて逃げるようにして ふっかのもとへ移る。
「相変わらず弄られてんな？」
「弄らせてやってんのよ？ 佐久間さん優しいから」
「はいはい。そういうや佐久間さ、仕事は順調？」
「順調よー。最近はふっかの店の周辺回ってるから、また今度店寄るわ」
「そうかそうか。あんま無理すんなよ、営業って体力使うじゃん」
「だったら今度餃子サービスしてね！」
「やだよ。餃子代くらい払えよ」
「にゃはは！」
.
二時間ほど食べて呑んで(今回は少量ね)、千鳥足で家路を辿る。
『 彼女？』
ふと照の言葉が頭を過ぎって立ち止まったら、見えたのは捨てられた子猫のようにエントランス前の階段で膝を抱えている女の子。
くす、なにやってんのだか。
「A〜」
声をかけたら勢いよく顔を上げたAが
、これまた勢いよく佐久間さんに飛び込んできた。
ドンと突っ込んできた華奢な身体を抱きとめれば、胸元から上目遣いで見上げてくる。
「おかえり、佐久間」
「どったの？ 今日は帰りなって言ったじゃん」
「…だって」
素直に自分の気持ちを言うAにしては、珍しく口を閉ざすからどうしたの？と、もう一度聞いてみた。
「今日ね、私、誕生日なの」
「え？ なにそれ」
なんだよそれ。
誕生日ってめっちゃ大事な日じゃん。
「なんで言わねぇの！？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2031人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - ゆんさん» ゆん様、こちらにもコメント有難うございます！とっても嬉しいです(^-^)私が好きな彼を妄想して書かせてもらってますので、それで気に入って下さると本当に嬉しいです！おまげで、しっかり読んでもらえて幸せです☆有難うございました(o^-^) (2021年4月16日 21時) (
レス) id: 4eb798e005 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 続けてコメント失礼します...！作者様が作り出す桃さんが本当に素敵で、読んでいてずっと胸がぎゅっとなってました。ハラハラもしましたが、最後ちゃんと幸せを掴めて良かったです（；＿；）あと最後のおまけでまた泣きました（笑） (2021年4月16日 21時) (レス) id: 9b672a5393 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - せいなさん» せいな様、その初めてを私に下さり有難うございます！嬉しいです！泣いてくださるほど感情に入り込めた事更に嬉しい。こちらこそ見つけて下さり、そして読んで下さり、コメント下さり有難うございました(^^) (2021年4月8日 8時) (レス) id: 4af061861f (このIDを非表示/違反報告)
せいな(プロフ) - 初めまして。感想なんてはじめて書きます。笑こんなに泣いた小説ははじめてでした。すっごい感動しました。素敵な作品を作っていただき、ありがとうございます。この作品大好きです。 (2021年4月8日 0時) (レス) id: 6e9aa29fb4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - 雪の王子様さん» こちらにも有難うございます！お付き合いしてると錯覚してもらえるなんて、凄い褒め言葉です！嬉しい（泣）素敵なコメントほんとに有難うございました！ (2020年10月7日 13時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆ゆきんこ☆
| 作成日時：2020年9月11日 12時
