299：見落としたシグナル ページ6
-ジニョンside-
JN「ちょ、ちょっと待てよバロっ、
なんの事かちゃんと説明を…」
さっきまでの発言がどういう意味なのか確かめたくて僕が腕を引くと、
渋々振り向いて僕を見た後目を伏せたバロ
BR「今日は…誕生日だから…」
JN「え?」
BR「今日はアイツの誕生日だから」
JN「アイツ…って…」
BR「Aだよ。今日はAの誕生日だから
ヒョンと一緒に居ると思ったのに…」
JN「…まさか…」
今日がAちゃんの誕生日って…まさかそんなはずはない。
だって、去年の秋にマスターと合同で小さな誕生日会をしたって聞いた事があったから、
だからAちゃんの誕生日は秋なんだと、そう…思ってたのに…
JN「そんなはず…」
BR「とにかく今日なんだよっ
とりあえず俺Aを探しに行ってくる」
まだ頭の整理が出来ずに戸惑ってる僕を残して駆け足で去って行ったバロ。
バロの言葉を信じたくないし信じられないけど、
あんなに焦ってる姿を見たら今日がAちゃんの誕生日っていうのは本当なのかもしれない。
…確かに、そう思って良く考えてみれば思い当たることは沢山あった。
昨日Aちゃんが珍しく僕を探してたのもそれを伝えたかったからかもしれないし、
Aちゃんから僕に「会いたい」って言ってくれたのだって初めてだったのに、
喜ぶだけでなぜそう言ったのかなんて考えもしなかった…
きっとAちゃんは沢山の信号を送ってくれていたのに、
独りよがりな恋に舞い上がっていた僕は1つも気づく事が出来なかったんだ
JN「Aちゃんっ…」
少し震える手で携帯を持ちAちゃんにかけてみても、
すぐに留守番電話に繋がるだけで余計増していく焦り…
今はとりあえずAちゃんを探さなきゃ…そう思った僕はバロに遅れながらも練習室を後にした。
まず行ってみたのは良く2人で待ち合わせをするカフェBANADA、
でももう店は閉まってて誰もいない様子。
そしてAちゃんの家にも行ってみたけど、
電気がついてなくてチャイムを鳴らしても応答がない…
JN「後は…」
家とカフェ、二か所しか見て居ないのに
後はどこを探せば良いのかこれ以上は思いつかなくて止まってしまった僕の足。
Aちゃんの事を何も知らない自分に腹が立つ…
JN「……」
見つけ出したい…見つけなきゃ…バロよりも早く。
そんな対抗心が芽生えていた事に、自分では気づいていなかった…
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作者名：のん | 作成日時：2017年4月8日 21時
