190：いつもと違う自分 ページ43
今日は待ちに待った遊園地当日、
私は頭からつま先まで完璧にお洒落をして鏡の前に立った
「うん、完璧」
散々迷って決めた服はワンピース、それに合わせて髪の毛も下ろして
いつもはあまりしないリボンのカチューシャなんか付けてみたりして…
「大丈夫…だよね?」
精一杯可愛くしてみたつもりだからソヌに見てもらいたいって気持ちもあるけど、
こんな格好はあまりしないからなんだか恥ずかしい気もする。
だからやっぱりいつものジーンズにするか最後まで迷ったけど、
いつもとは違う姿を見て欲しくて、私はワンピース姿で家を出る事にした
“ガチャ”
「あっ、おはよう」
ドアを開けると、珍しく私より先に玄関前に居たソヌ
SN「おぉ、おはよ」
「晴れてよかったね!!」
SN「そうだな」
いつもと何一つ変わらない会話を繰り広げるソヌに、
“今日の私どう?”なんて聞いてみたいけどそんな事聞けるわけもなく…
「じゃあ行くか」とスタスタ歩いて行くソヌの後ろを付いて行きながら私は顔をしかめた。
“可愛い”とか“綺麗”とか、そんな歯の浮くようなセリフを期待してたわけじゃないけど、
“いつもと違う”とか“似合うんじゃない”とか、それくらい言ってくれると思ったのに…。
昨日眠れないくらい迷って決めた服を、ソヌは何も見てくれてないんだって思って、
無駄な時間だったかな…なんて少しだけ後悔した
「……」
ふくれっ面で後ろを歩く私の小さな抵抗にも気づかずに、
「ほらっ早く後ろ乗れよ」と自転車に乗ったソヌ
「…うん、じゃあ出発!!」
本当はまだちょっと不満だけど、こんな事で腹を立ててせっかくの楽しい時間を無駄にしたくないし、
今日お洒落をしたのは自己満足だと自分に言い聞かせ、私は笑顔で自転車の後ろに乗った。
小さな不満を捨ててみれば今日はとても良い事ばかり、
雨が降るかもと心配していた空は奇跡的に太陽が見えていて、ぽかぽか陽気で風も気持ち良い。
こんな日にソヌと遊園地に行けるなんて本当に凄く嬉しくてニヤついていると、
「何ニヤニヤしてんだよ」と、一度も後ろを振り向いていないはずのソヌから言われ、
驚いて自転車の後ろから落ちそうになった私
「えっ!?な、何で分かったの!?」
SN「フッ、本当にしてたのかよ」
「何となく言ってみただけなのに」なんて笑ってるソヌに、
“だって…ソヌと居れて嬉しいんだもん”私はそう、心の中でつぶやいた
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作者名：のん | 作成日時：2016年9月4日 21時
