184：その一言が言えなくて ページ37
「うーん…何着て行こうかなぁ」
部活終わりの家庭科室で私はいつもの様に1人、
ソヌが行くかも分からないのに遊園地へ行く日に何を着ていくかワクワクしながら考えていた。
前は何を着て行ったかな…なんて考えたけど、秋服だったから参考にもならない
「秋か…4人で遊園地行ったのって
そんなに前だったんだ…」
初めて4人で遊園地へ行ったのは去年の秋、まだ私がジョンファンを好きだった頃。
最近の出来事の様な、凄く昔の話しの様な…
思い出してみるとあの日の遊園地では色んな事があって、ソヌにも沢山迷惑かけてしまった。
あの頃の私は人生のどん底って感じで、見るもの全てが嫌になったりもして…
そんな瞬間をこうやって思い出して懐かしいと思える日が来るなんて、
あの時の私には想像も出来なかったな…
遊園地だって、もう一生行かない!!なんて思ってたけど、
ソヌと行けるんだったら…それは今の私にとって願ったり叶ったりな出来事で、
楽しみで仕方ないとさえ思えてしまう
「ソヌ…行くって言うかな…」
今日の昼休みの喧嘩がフラッシュバックして、マイナスな想像しか出来ない私の頭。
ソヌが来てくれないと行く意味なんて無いから…
「とりあえず謝らなきゃな…」
ソヌが迎えに来たらまずは今日の事を謝ろう、
そしたらきっと遊園地にも来てくれるはず。…って思ったけど、そもそも迎えに来てくれるのかな…
喧嘩しちゃったし、怒って1人で帰っちゃうとかないよね…
「まさか…またあの子と…」
怒って1人で帰ってたらどうしようとか、またあの子と一緒に帰っていたらどうしようとか、
今になって自分がとてもマズイ事をしてしまったんだと実感し、
この状況がどれだけヤバイか後悔しながら机に顔を伏せた
「う"〜……」
SN「…何うなってんだよ」
そんな冷静な突っ込みに驚いて顔をあげると、ドアの前に立っているソヌの姿が…
「ソヌ…」
SN「何1人で『う"〜う"〜』言ってんだよ」
「えっ!?いや、別にっ何でもない…」
SN「…まぁ、いいけど。帰るぞ」
「あっ、ソヌ!!」
家庭科室を出ようとしてる所を呼び止めると「あ?」と振り向いたソヌ
「えっと…いや…何でもない。帰ろうか」
会ったら謝ろうと思ってたのに、いざ目の前にすると言葉が出て来ない…
“ごめんね”って、ただ一言言えばいいだけなのに、なんでそれが出来ないんだろう
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作者名：のん | 作成日時：2016年9月4日 21時
