179：チキンな乙女心 ページ32
-ソヌside-
会いに行く…行かない…会いに行く…行かない…行く…行かない…行く??行かない??
SN「って、俺は乙女かよ…」
自分で自分にそう突っ込んだ後、吐き出した大きなため息。
情けない事に俺はさっきからAに会いに行くか行かないか、
そればかりをずーっと頭の中で考えてる。
少しでも良いから会いたい、めちゃくちゃ会いたいし話したい、
本当は毎日だって会いに行きたいけど、結局いつも迷ってるだけで昼休みが終わってしまう…
なぜ素直に会いに行かないんだって、それはプライドが邪魔してるわけじゃない。
ただ…本当に毎日会いに行ったら嫌がられるんじゃないかって、
彼氏でもないのに可笑しいってAがクラスの奴らに思われたらどうしようって、
そんな色んな事を考えてしまうからだ…
SN「はぁ…なんか良い理由ねぇかな…」
会いに行く理由さえあればすぐにでも隣りのクラスに行きたいと思っていた俺に、
天使の囁きはすぐ側から聞こえて来た
“やっべ…俺教科書忘れた…”
“他のクラスのヤツに借りれば?”
………それだ!!!
SN「おいっ!!教科書なら俺が貸してやるよ!!」
前の席で教科書を忘れたという話しが聞こえてそう言うと、
バカな事言ってるとでも言いたげな顔で笑いながら俺を見る友達
友達1「なに言ってんだよソヌ、お前も使うだろ」
友達2「そんなに授業サボりたいのかよ」
SN「バカちげぇよ、いいからほらっ
俺の教科書使え!!」
そう言って教科書を投げ渡し、俺は隣りの教室へと急いだ。
そうだよ!!教科書だよ!!こんな上手い口実なんで今まで思いつかなかったんだろう
SN「フッ、俺ってマジ頭いいかも」
不敵に笑いながら隣りの教室を覗くと、机にふせて眠ってる様に見えるAの姿が…
いつもならこういう時、寝てるのかと思って声をかけるのをためらうけど、
会いに行く明確な口実を見つけた俺は自信満々に廊下からAの名前を呼んだ
SN「A!!」
俺の声に驚きながらもすぐに駆け寄って来てくれたA
SN「よっ」
「ソヌっどうしたの?
こっちに来るなんて珍しいね」
SN「まぁ、ちょっと…」
「…?」
SN「教科書貸してくんない」
………って!!いきなり本題かよっ!!!もっと何か話す事あっただろ俺!!
せっかく会いに来たのに…チキンな自分がイヤになるぜ…
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作者名：のん | 作成日時：2016年9月4日 21時
