175：背中で感じる温もり ページ28
-ソヌside-
SN「泣かせたの…俺だったんだな」
いつもみたいにジョンファンの事が原因で泣いてるんだと思っていたから、理由を聞いて驚いた。
まさか、俺が理由で泣いて居たなんて…
ボロボロと涙を流すAを前にして、悲しませてしまったという罪悪感を感じながらも、
俺の事で泣いてくれてるんだって思ったら、なぜか嬉しさも感じてしまう。
でもそんな嬉しさを感じたのは一瞬で、
泣くのをやめないAを見て、俺は徐々に焦りを感じ始めていた。
今までAが泣いてるのなんて数え切れないくらい見てきたし、
俺の前でしか泣かないAが可愛くて凄く嬉しい時もあったけど、
それはジョンファンが理由で泣いてる時であって自分が泣かしたってなると話しは別。
どうしたら泣き止んでくれるのか分からなくて、俺はさっきからオロオロしてばかりだ
SN「もう絶対約束破らないから…
だからもう泣くなよ…」
そんな月並みな言葉しか言えないけど、俺はAに謝りながら頭をなでた。
きっと今の俺は相当困った顔をしてるだろう…
SN「ほら…な?」
まさかそんなに悲しむなんて思わなかったから、約束を破ってしまった事が本当に申し訳なくて、
「ごめんな」と俺が顔を覗きこむと「ううん」と言って首を振ったA
「私もごめん…我儘言って…」
SN「…んな事ねぇよ」
そんな小さな我儘が、俺にとってどれだけ嬉しい事かAは知らないんだ…
SN「ほら…もう帰ろう」
自転車の後ろに乗るように促すと、Aは少し迷いながらも乗ってくれて、
静かな夜道に響く車輪の音と、俺の背中にもたれるAの温もりだけ感じられる…
Aが俺の背中にもたれる時は、悲しい事があった時か泣いてる時だって決まってるから、
俺はただ静かに自転車をこぎ続けた。
…やっぱりこの時間がいい、かすかに香るシャンプーの香りに緩く腰に巻きつく手、
暖かな体温と何も喋らなくても心地いい空間、
Aとの時間のその全てが、俺をドキドキさせるんだ…
SN「なぁA」
「ん?」
SN「明日は絶対迎えに行く、絶対絶対行くから」
「うん」
今まで俺と一緒に帰る事をAはどう思ってるのか不安だった、
もしかしたら…面倒だって思ってるかもって。
でも俺の1人よがりじゃないって、俺を待っててくれてるって分かったから、
これからは何があっても絶対に迎えに行く、この自転車にA以外は乗せないって決めたんだ…
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作者名：のん | 作成日時：2016年9月4日 21時
