171：自ら招いた悲劇 ページ24
帰る前に戸締りをしようと家庭科室の窓を閉めて鍵をかけた瞬間、
外の景色を見た私の目に飛び込んで来たのは、自転車に乗ってるソヌの姿
「あれ…ソヌ?」
一瞬迷ったけど、そこに居るのはやっぱりソヌで、
自転車に跨って校門の前に居る姿を見て私は首を傾げた
「何してんだろ…今から帰るのかな」
用事があるって言ってたけど、あそこに居るって事はもう終わったみたいだし、
今からダッシュすれば一緒に帰れるかもしれない。
それともとりあえずここから呼び止めた方が早いかな…なんて、
一瞬で私の脳は花が咲いた様に明るくなったけど、
次の瞬間、疑いたくなるような光景を目にして私はその場に立ち尽くした
「……」
知らない女の子がソヌに近づいたと思ったら、
その子は自転車の後ろに乗ってソヌの腰に手を回し、そのまま帰って行く2人…
「……」
その子は誰?どういう関係?なんで自転車に乗せてるの?
そこは私の場所で、それは私とソヌの時間なのに…どうして?
…そんな疑問があっという間に頭の中を占領して、気づけば目に涙が浮かんでぼやけて行く視界。
さっき見たのは本当にソヌだった?見間違いじゃない?
そう何度も何度も自分に問いかけたけど、この目で見てしまったから心を誤魔化す事も出来ない…
「‥どうして…ソヌ…」
ソヌが自転車に乗せるのは私だけだと思ってた、
何の根拠もないけど、あそこは私の席だってそう思ってたのに…
違った?やっぱり私の思い上がりだった?
もしかしたら前から色んな子を乗せてたのかもしれないけど思い出せない、
ソヌはどんな子と仲良かったか、放課後何をしてたか、私は何も知らない。
ずっと一緒に居たと思ってたけど、私はソヌの事何も見てなかったんだ…
いつもジョンファンばかり見ててソヌの事はほったらかし、
真剣に向き合う事すらしようとしてなかった。
不安と後悔と焦り…色んな感情が一気に押し寄せてしばらくその場を動けず、
外が真っ暗になってようやく、帰り道を歩き始めた私。
重たい心を引きずりながら1人でとぼとぼ歩いて帰る道は凄く長くて、
涙は止まったけど心はまだ泣いてるみたいで、涙の重さで歩けなくなりそう…
「私が…悪いんだよね…」
他の子と一緒に帰ってたからって、ソヌを責めるのはお門違い。
だって、私がいけないんだ…ソヌをちゃんと見てなかったから、
ソヌと向き合おうとしてなかったから…だから…私がいけないんだ…
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作者名：のん | 作成日時：2016年9月4日 21時
