170：残念な報告 ページ23
部員「Aちゃんまたねー」
「うんっ、また明日ね」
部員が皆帰ってしまい家庭科室に残ってるのは1人だけ、
だけどそれはいつもの事で、今日もこうやって私はソヌを待っている。
1人で待つのはいつもの事だけど、今日は少し違う事がある…
それは、一緒に帰る約束をしたって事。
ほぼ毎日一緒に帰ってたけど、ちゃんと約束をしたのは初めてで、
それがなんだか凄く嬉しくて、私はさっきからニヤニヤしてばかり
「〜♪〜♪」
待ってる間、イヤホンをしてお気に入りの曲を大音量で聞きながら口ずさんだ私。
ソヌに薦められたこの曲を最初に聞いた時は趣味じゃないって思ったけど、
ソヌが好きな曲なんだと思ったら愛着が湧いて、自然とこの曲が好きになる。
苦手なジャンルでもソヌが聴いてるんだと思ったら私も聴いてみたくなる…って、私完全に恋してるな…
「っ!?!?」
曲を聴いていると突然肩を叩かれて、私は驚きながら振り向いた。
いつもならイヤホンを引っ張るくせに珍しいな…なんて思ったら、
なぜかそこにはソヌじゃなくジョンファンが…
「ジョンファン?どうしたの?」
JF「Aもそんな曲聴くんだね」
私の鼻歌を聞いたのか、笑いながらそう言ったジョンファン
「うん、ソヌにCD借りたから。
ってかどうしたの?何か用事?
ジョンファンが来るなんて珍しいね」
JF「ソヌから伝言があって」
「伝言?」
JF「用事があるから今日は一緒に帰れないって」
「えっ…」
JF「詳しい理由は聞いてないけど、
家庭科室で待ってるだろうから
伝えてくれって言われたんだ」
「…そう…」
JF「僕も先輩迎えに行って帰るけど
門まで一緒に行く?」
「ううん…私は片付けて帰るから、
わざわざありがとね」
JF「ううん全然!!じゃあまた明日ね」
「うん、明日ね」
ジョンファンの姿が見えなくなるまで手を振った後、吐き出した大きなため息…
1人になった家庭科室はすごく静かで、いつもは何とも思わないこの静寂も、
ソヌは来ないんだと思うとなんだかとても寂しいものに思えて来る。
「一緒に帰りたかったな…」
先生にでも呼び出されたんだろうか…
一緒に帰りたかったけど用事があるなら仕方ないと自分に言い聞かせ、
戸締りをするために立ち上がり窓に近づいた瞬間、
私は信じられない光景を目にしてしばらく体が動かなかった…
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作者名：のん | 作成日時：2016年9月4日 21時
