055：無邪気と言う名の悪意 ページ6
「今日は練習どうだった?」
JF「今日も凄くキツかった〜
試合近いから先生も厳しくてさぁ」
「あの先生は厳しいもんね」
JF「そうなんだよ!!
もう試合の前にバテそう」
「フッ、ダメじゃんそれ」
JF「だって〜!!
本当にそれくらいキツイんだよ!!」
何だかんだと他愛の無い話しで盛り上がりながら
こうやってジョンファンと一緒に帰るのは凄く久しぶりな気がする。
何も知らなかった時に戻ったような、そんな帰り道…
JF「Aも夏休みは毎日学校来てるの?」
「うん、まぁ…毎日では無いけど、
課題の為に家庭科室に居るかな」
JF「へーそっか、少しは課題進んだ?」
「全然っ!!サボってばっかで」
JF「だと思った!!」
「ハハッ、バレたか」
JF「でもAの事だから
サボってバスケ見に来ると思ってたのに、
全然来ないから学校には来てないんだと思ってた」
「あぁ、いや…まぁ…
試合に向けて必死に頑張ってるみたいだし
暇人が邪魔しちゃ悪いからね」
JF「そんな事ないよ!!
Aが来てくれたらもっと頑張れるのに!!」
苦笑いをする私にそう言いながら、無邪気な笑顔で笑いかけて来るジョンファン。
そんなジョンファンの言葉はいつも私を勘違いさせてしまう…
まるで私の事が好きだと言っているような、そんな言い回し。
そしてそんな言葉と笑顔にまんまとハマってしまったみたいで
キュンとした後はもれなくズキズキと痛みだす私の胸。
もちろんジョンファンには私を好きにさせる気も私に勘違いさせる気も
これっぽっちもない事は分かってる、
でもだからこそ…悪意がないからこそ傷つく事だってあるんだ…
「ねぇ…ジョンファン…」
少し前を歩いていたジョンファンは私の言葉に振り返り
「なにぃ〜?」なんて後ろ歩きをしながら返事する
「ジョンファンは…先輩のどこが好き?」
JF「えっ、い、いきなり何!?」
「いや…なんていうか、
あんまり話し聞けてなかったし…」
突然の質問に顔を赤くして照れた顔をしてるジョンファンに私は目を逸らしながらそう言った。
今まで先輩が好きだと言うジョンファンの話しをずっと避けて来たけど
前よりも少しはその話題にも慣れたつもりだし、
もしかして今ならちゃんと聞いてあげられるかもしれない…って思ったから。
それに…聞いてみたかった。どうして先輩なのか…どうして私じゃなかったのかを…
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
