好きな人には他に好きな人が居ます 2 (ページ25)

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074：夏の終わりページ25

「ふわぁ～…」

大きなあくびをしながら上を向くと目に染みる様に輝く太陽の光…
昨日あまり眠れずに朝を迎えた私は、重たい体を引きずり学校へと向かっていた。
そしてそんな私の名を呼びながら背中を叩いたのは、自転車に乗ってやって来たソヌ

「あ、ソヌおはよ…今日朝練は?」

SN「今日は休み、始業式だしな。
　ってか、昨日はどうだったんだよ」

「え?何が?」

SN「何がじゃねーよジョンファンとだよ!!
　仲直りは出来たかって聞いてんの」

眉間にしわを寄せながら早く教えろと言わんばかりの勢いで聞いてくるソヌの態度に、
なぜか少しだけ心が重たくて、一つ心の中でため息を吐いた私。
だけどそんな気持ちは態度に出さず「ちゃんと仲直りしたよ」と軽く返したのに
ソヌは「本当か?」なんて疑う様な眼差しを私に向けた

SN「…の割に元気ないな」

「何言ってんの、そんな事ないよ。
　ソヌの余計なお世話のおかげで
　ちゃんと仲直りしました!!」

SN「おいっ余計なお世話ってなんだよ
　チャンス作ってやったのに」

「分かってるって、感謝してる」

SN「だろ?お前の事だからああでもしないと
　仲直り出来ないと思ってさ」

「まぁ…確かにそうだね。助かったよ」

昨日の事は本当に感謝してる、ソヌの助けがなかったら仲直り出来てなかったと思うから。
それに悪いなとも思ってる、今までソヌの気持ちを何も考えてなかった事を。
…一体ソヌは私と友達で嬉しいのか、辛くはないんだろうか、
そんな事を考えながら歩いていた私は無意識にソヌを凝視していたらしく、
その視線に気付いたソヌが「何だよ」と振り向き目が合った

SN「なにジロジロ見てんだよ、
　俺がカッコ良すぎて見惚れたか」

「ハハッ、それ自分で言うかな」

こうやって笑い合える瞬間もソヌは無理してるんじゃないかって
昨日からずっとそんな事ばかり考えてる

「ねぇソヌ…」

SN「ん?」

「私と友達で嬉しい?」

SN「…どういう意味だよ」

「…ううん!!やっぱいいや忘れて、
　よしっ、学校までレッツゴー!!」

急に答えを聞くのが怖くなった私は、質問を誤魔化す様に笑ってソヌの自転車の後ろに乗った。
そして「ほらっ早く」と急かしながら腰に手を回すと、戸惑いながらも走り出したソヌの自転車。
自転車の後ろに乗って感じる空の色も風の匂いも夏休みが始まる前とは違っていて、
夏の終わりはもうすぐそこまで来ているみたいだった

　