071：騙された2人 ページ22
夏休み最後の日、相変わらず家庭科室で1人空を眺める私…
あの日ソヌに“頑張る”って宣言したくせに、私はまだジョンファンに謝る事が出来ないでいた。
何度も何度も謝ろうと思って体育館の前まで行ったけど、
ジョンファンの顔を見るのが怖くていつも戻ってきてしまうんだ
「情けない…」
私はため息と共にそう吐き出しながら窓にもたれた。
このままなんて気まずいから早く謝っておきたかったのに、
最後のチャンスである今日も、謝る事は出来なさそう…
SN「A!!」
静かな家庭科室に突然響いたソヌの声、
ぼんやりしていた私はその声に心臓が飛び出しそうな程驚いた
「ソ、ソヌどうしたのっ
いきなり過ぎてビックリするじゃん」
SN「あ、悪い悪い」
全然悪いと思ってない様な軽い口調で謝った後、
「とりあえず来い」なんて半ば強引に私の手を引いて廊下を歩き出したソヌ
「ちょっと、どこ行くのっ」
SN「来れば分かるよ」
「そんなっ…」
何を聞いてもはっきりした事は教えてくれなくてただ手を引かれるから
どこに連れて行かれるのか不安になっていたけど、
いざ辿り着いたのは見慣れた私達の教室。
「ねぇ、なんで教室に来たの?」
SN「いや、ちょっと…
もうすぐなはずなんだけど」
教室中を見渡しながらソヌがそう言った瞬間、
私達以外の人が教室に入って来る音が聞こえて2人で振り向いた
JF「ソヌ、教室で話しってなに」
ドアの前にはユニフォームを着たままのジョンファンが居て、
振り向いた瞬間、合ってしまった視線と視線
「…ジョンファン…」
JF「…A…」
あれから顔を合わせたのは初めてで凄く気まずい空気をジョンファンからも感じる…
きっとジョンファンも私が居るなんて思わず、ソヌに騙されてここへ来たんだ
SN「ほらA、
ジョンファンに話しがあるんだろ!?」
「えっ!?」
急にそんな事を言われても心の準備が出来ずあたふたする私に、
「頑張るって言ったろ」そう私の耳元で囁いて教室を出て行ってしまったソヌ。
ソヌが居なくなって2人きりになっても、何も喋らず気まずそうに立っているジョンファン。
私達の距離がこんなに遠く、よそよそしくて感じたのは初めてで、
そんな死にそうなくらい悲しい空気を噛みしめながら、
私は何をどう伝えればジョンファンが許してくれるのか
少ない脳みそをフル回転させながら考えていた…
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
